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超合金化する前のボルドー1996、PP100点のラフィットとラトゥール

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 オークションハウスが、日本に注目している。ニューヨークに本拠を置くザッキーズは、香港でオークションを開いているが、日本でもネットを使ったサテライト・オークションを計画している。5月27、28日に香港で開かれるオークションに先立って、出品されるワインを試飲した。今回のオークションは1479ロットのボルドー、ブルゴーニュ、ウイスキーなどが出品される。

 シャンパーニュは「ドン・ペリニヨン・ロゼ 1996」、白ワインは「コシュ・デリ ピュリニー・モンラッシェ・レ・ザンセニエール 2010」と「ルフレーヴ バタール・モンラッシェ 2008」、赤ワインは「コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ ミュジニー・ヴェイユ・ヴィーニュ 2000」、パーカー100点の「シャトー・ラフィット・ロートシルト 1996」「シャトー・ラトゥール 1996」、甘口が「シャトー・ディケム 1970」というラインアップだった。
 「ドン・ペリニヨン・ロゼ 1996」は、完熟したピノ・ノワールを思わせるエキゾチックなシャンパーニュ。オレンジのコンフィ、腐葉土、タバコ、96らしい力強い酸がなめらかなタンニンとバランスをとっている。デゴルジュマンから、時間がたっていると思われる。最良のロゼはブラン・ド・ブランに負けない熟成力があり、ブルゴーニュの赤ワインに近づく。サーモンのタルタルとジャストフィット。

 「コシュ・デリ ピュリニー・モンラッシェ・レ・ザンセニエール 2010」は、ヘーゼルナッツ、濡れた石、キレのいい酸がありながら、まろやかなテクスチャーに包まれ、心地よいほろ苦みと塩み。ムルソーよりミネラル感とテンションが強い。「ルフレーヴ バタール・モンラッシェ 2008」は、開き始めていて、パイナップル、レモンオイル、アカシアのハチミツ、丸みはあるが、正確で、焦点が合っている。2008はそれほど長距離走者ではなさそうだ。
 「コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ ミュジニーVV 2000」もほどけていた。ミント、石の粉、森の下草、コアに抱える氷柱のような冷たさが溶け始め、外交的な表情を見せている。思った以上に濃密で、なめらかなタンニンもしっかりしている。評価は高くないが、2000は狙い目のヴィンテージだ。

 最後にサーロインと合わせたのは、20年ったパーカー100点の1級シャトー。「シャトー・ラフィット・ロートシルト 1996」は近年より抽出の強いビッグなスタイル。継ぎ目のないテクスチャーと強大なグリップ。甘さを感じるほど凝縮しており、余韻は驚くほど長い。20年後に再会したい。「シャトー・ラトゥール 1996」は逆に今より柔らかいスタイル。詰めが甘い。目が開いていて、炭、腐葉土、コーヒーのきれいな熟成香。フレデリック・アンジェラが社長に就任したのは1998年。一部のスキもない超合金のような現在のスタイルはそこから築かれた。その後のラトゥールの品質向上が逆に浮き彫りになった。1996のボルドーは全体に、現在ほど洗練されていないが、素朴さがどこか懐かしい。

 「シャトー・ディケム 1970」はコハク色、マーマーレードのジャム、クレームブリュレ、トロリとした口当たりで酸がやや弱い。今が飲みごろ。

2016年5月17日 東京・六本木のアークヒルズクラブで

シャンパーニュ ドン・ペリニヨン・ロゼ 1996
97点
コシュ・デリ ピュリニー・モンラッシェ・レ・ザンセニエール 2010
92点
ルフレーヴ バタール・モンラッシェ 2008
93点
コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ ミュジニー・ヴェイユ・ヴィーニュ 2000
94点
シャトー・ラフィット・ロートシルト 1996
98+点
シャトー・ラトゥール 1996
99点
シャトー・ディケム 1970
90点

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