一般予約不可の「すきやばし　次郎」「鮨　さいとう」姿消す…ミシュランガイド東京 2020

　「ミシュランガイド東京 2020」の内容が26日、発表され、日本料理「かどわき」（港区）が三つ星に昇格した一方で、「臼杵ふぐ 山田屋」（西麻布）が二つ星となった。2019年版で三つ星だった「すきやばし　次郎　本店」「鮨　さいとう」は一般予約が不可能なため対象外となった。二つ星は3軒、一つ星は19軒が新たにリスト入りした。

　2020年版には226軒の星付きレストランが掲載され、東京は今年も世界で最も星の多い都市となった。三つ星は計11軒となり、2019年版より2軒減った。2軒が対象外となり、1軒が2つ星に落ちたため。二つ星は48軒で、評価を上げたのが2軒、新規掲載が1軒。一つ星は167軒。

　「かどわき」は2009年の初掲載以来、二つ星を維持し、12年目にして三つ星に昇格された。三つ星はフレンチの「カンテサンス」「ジョエル・ロブション」「ロオジエ」の3軒は前年と変らず、日本料理と唯一の寿司店となった「鮨 よしたけ」を含めて計11軒。2007年の創刊以来、三つ星を保っているのは「かんだ」「カンテサンス」「ジョエル・ロブション」の3軒のみ。

　二つ星に昇格となったのは、イタリア料理「プリズマ」（表参道）と日本料理「銀座 しのはら」。デンマーク・コペンハーゲンの三つ星「noma」が監修する「Inua」（飯田橋）が初登場で二つ星となった。プリズマは2018年に一つ星として掲載され、今のところ日本で唯一の二つ星イタリアン。2019年版で二つ星だった日本料理「銀座　とよだ」、「赤寶亭」（せきほうてい）が一つ星になった。

　一つ星のフレンチは「アサヒナガストロノーム」（茅場町）、「ラフィナージュ」（銀座）、「サンプリシテ」（代官山）、「Sio」（代々木上原）など、星付き店で経験を積んだシェフのレストランが順当に初登場した。

　ミシュラン東京は2007年に発刊されて13年めに入り、当初ほどニュースで大きく報じられることはなくなったが、今回はTBS系ドラマ「グランメゾン東京」で星を目指すフレンチレストランが題材となっている折、フレンチやワイン愛好家の間では、改めてミシュランに注目が集まっている。星取り競争が華やかに、真剣に描かれた内容だが、現実の世界はドラマよりはるかに厳しさを増している。

　ドラマの監修をしているのは、「カンテサンス」で13年連続、3つ星を維持しているフレンチ唯一の日本人シェフ、岸田周三さんだ。テレビやイベントにほとんど登場せず、料理に専念してきた岸田シェフが、今回の監修を引き受けたのは料理業界の将来に危機感があったからだという。

　「お引き受けしたのは、ランチを止めて少し時間的な余裕ができたのもありますが、料理人やサービスマンが不足している現状に不安を感じたからです。このままでは料理業界で働く人材が減っていく。将来のためにも、料理の世界の素晴らしさを訴えたかった。レストランの仕事の細部についても、番組制作のスタッフと話しあっています。乱獲で良質なマグロが減っているのと同じく、危機感を覚えています」と、大義に突き動かされている気持ちを率直に語った。