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決め手はクロ・コラン赤、ヴーヴ・クリコのラ・グランダム・ロゼ

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 ロゼ・シャンパーニュの先駆ヴーヴ・クリコの醸造家シリル・ブラン氏が来日して、ブレンドのベースとなる赤ワインの試飲会を行った。

 ヴーヴ・クリコは1775年にロゼ・シャンパーニュを世界で始めて海外に輸出したメゾン。現在はノンヴィンテージのローズラベル・ブリュット、ヴィンテージ・ロゼ2004、ラ・グランダム・ロゼ2004の3種のロゼ・シャンパーニュを生産している。決め手となるのはブレンドに使うピノ・ノワールで造る赤ワインの品質。赤ワインの醸造を担当するブラン氏が特別に、ブレンドに使う2012年の赤ワイン4種を持参した。

 モンターニュ・ド・ランスのヴェルジィ、ブージィ、ブージィのクロ・コラン、ヴァレ・ド・ラ・マルヌのアイの4種。このうち、ノンヴィンテージには、ヴェルジィ、ブージィ、アイが使われ、ヴィンテージはブージィのみ、ラ・グランダム・ロゼにはクロ・コランしか使わない。ノンヴィンテージは12~13%、ヴィンテージとグランダム・ロゼには15%ブレンドする。

 ヴェルジィは青さが残り、フレッシュでタイトな酒質。アイはそれより色合いが濃く、豊かで、テクスチュアが柔らかい。ブージィはタンニンが細やかで、熟度が高く、バランスがいい。クロ・コランは別物で、ブルゴーニュかと思うほどしっかりと深みのある色調。熟度とタンニンのしなやかさが一段上で、丸さと長さもあり、これ単体で飲めるほどバランスが優れている。

 ブラン氏は「ヴェルジィはアーシーで、北向き斜面のフレッシュ感が出ている。南斜面のアイは、豊かでクリーミィ。複雑性とバランスの良さがある。ブージィは熟していて、シルキーで、余韻も長い。クロ・コランは全く別物」と。

 これらのベースワインと、それを基に造られる3種のシャンパーニュを比較すると、15%近くを占める赤ワインのブドウの熟度、味わいの複雑性がそのまま反映している。とりわけ、メゾンの頂点に位置するプレスティージュ・キュヴェのラ・グラダム・ロゼがクロ・コランしか使わない理由がよくわかる。

 クロ・コランはクリコ未亡人の夫が、1760年に特別な畑だからと購入した。1・4ヘクタール。南向きの中腹から上部斜面で、標高は80~100メートル。斜度は15%。チョーク(白亜質)に石灰岩、粘土などが混じった土壌で、平均樹齢は23年。除梗し、1、2日の低温浸漬の後に、1日で2、3回のピジャージュをして仕込む。

 2000年にメゾンに入社したブラン氏は「ブージィの村人はクロ・コランが最良の区画だと知っている。平均樹齢は23年だが、40年のブージィと比較しても、質が格段に高い。クロ・コランの台木を近くの畑に移植したが、クロ・コランのようにはならなかった。テロワールのなせる技」と語る。

 試飲会は、東京・南青山のフレンチ・レストラン「イリエ・ル・ジョワイユー」で行われた。「北海道産サクラマスと薄紅蕪のミルフィーユ」「グリーンアスパラガスと手長エビ」「熊本県産桜鯛と帆立貝のムース 雲丹ソース」「フランス産小鳩とフォアグラのちりめんキャベツ包み焼き」「熊本県産デコポンのジュレとシャーベット 濃厚なババロア」など、ロゼを意識した色彩感と食感豊かな皿が供された。

 ローズラベルは7200円、ヴィンテージ2004は1万円、ラ・グランダム・ロゼは3万2000円。問い合わせはMHD モエヘネシー ディアジオ(03-5217-9738)。

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