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イタリア・トスカーナのブルネロ・ディ・モンタルチーノを代表するカーゼ・バッセの当主ジャンフランコ・ソルデラが16日朝、亡くなった。82歳だった。
現地報道によると、サンタ・レスティトゥータのコムーネにある農園とワイナリーに近い道路で亡くなった。事故が起き、通報で救急隊が駆けつけたが、心肺停止の状態だった。運転中に心臓発作に見舞われたとの見方が報じられている。
1937年、ヴェネト州トレヴィゾ生まれ。ミラノで育ち、保険業を営んでいた。ジャンフランコとグラツィエッラ夫妻がモンタルチーノ南西部の標高320mに広がるカーゼ・バッセとインティスティエーティの区画を購入し、ワイン造りを始めた。1972年と73年に苗木を植え、75年に最初のヴィンテージを仕込み、77年のブルネッロを82年に初めて出荷した。
畑を取り巻く生態系を保つ自然なアプローチでサンジョヴェーゼを栽培した。発酵時の温度調整もせず、大樽で長期熟成する、干渉を最小限にとどめる手法によって、純粋で深みのあるワインを生産した。76年に出会ったポッジボンシのマスター・テイスター、ジュリオ・ガンベッリの教えも取り入れた。
2012年には、カーヴで熟成中の2007-2010年のワインの弁が従業員に開放され、2007年以降のヴィンテージの大部分が失われるという悲劇にあった。大手生産者のブルネッロに国際品種をブレンドする疑惑が生じたスキャンダルをきっかけに、13年にブルネロ・ディ・モンタルチーノ協会を脱退し、IGTトスカーナを名乗るようになった。サンジョヴェーゼ100%の信念を貫き、生産者からは畏怖と尊敬を集め、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの頂点に立つ存在と世界的に評価されていた。
ブルネロ・ディ・モンタルチーノ生産者協会のパトリツィオ・チェンチオーニ会長は「我々は長き道を共有してきた。道はわかれても、世界でブルネッロのイメージを高め、産地呼称の発展に貢献した生産者への尊敬の念は変わりがない。ご家族に心よりお悔やみ申し上げます」とのコメントを発表した。
現地では毎年恒例の試飲会「ベンヴェヌート・ブルネッロ」が開かれていたところで、世界から集まったジャーナリストやトレードの人間に大きなショックを与えた。妻グラツィエッラ、娘のモニカ、息子のマウロが残された。
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