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ドメーヌ・フルーロ・ラローズにとって、皇太子さまの訪問を受けた2017年は思い出に残る年だった。
皇太子さまは日仏友好160周年で公式訪問中だった9月、コート・ドールの南端に近いサントネイ村のドメーヌを訪問された。中心街からちょっと離れたドメーヌの前の通りは封鎖して、収穫真っ最中の畑や19世紀からの歴史を有するカーヴを見学した。
ニコラ・フルーロはモノポールのサントネイ・プルミエクリュ・クロ・デュ・パスタンを案内し、一時期はロマネ・コンティが造られていたカーヴも案内した。皇太子さまはブドウ畑の知識も豊かで、試飲では熟練のテイスターぶりを発揮されたという。ランチは気取らない煮込み料理。ドメーヌのスタッフが給仕して楽しまれ、帰り際には、スタッフ全員に挨拶をされたという。ニコラは地元テレビ局の取材に「我々だけでなく、サントネイにとって名誉なこと」と答え、仲間の造り手たちから称賛されたという。
「人生で最も心に残る感動的な体験でした。日本人であることを改めて誇りに思いました」という久美子フルーロ夫人は2003年6月に結婚して15年目。温和な性格で、近所に暮らすDRCのオベール・ド・ヴィレーヌ夫妻やラルー・ビーズ・ルロワら大勢の造り手と親交を保っている。2人の子どもは既にドメーヌを継ぐつもりだという。一族の中でマダム・フルーロと呼ばれるのは久美子さんだけになった。
フルーロ・ラローズはブルゴーニュでも歴史の長い名門ドメーヌだ。クロード・フルーロが創業したのは1872年。ニコラ&久美子夫妻が暮らしてワインを造るシャトー・デュ・パスタン(Chateau du Passe Temps)を1912年に購入した。シャトーは1843年の建造。1869年にロマネ・コンティを購入したデュヴォー・ブロシェ家が、ヴォーヌ・ロマネからブドウを運んで、瓶詰め・保管していた歴史を有する。
モンラッシェは1918年、クロードの息子でニコラの祖父オーギュストが、ピュリニー・モンラッシェのシャルル・ドラピエから購入した。オーギュストから息子のルネへとドメーヌが継承され、子供の間で畑が分割されて、ニコラが引き継いだのは0.04haとなる。バタール・モンラッシェの一部もドルーアンに売却された。かつては広い畑を持っていたのに、代を重ねて分割されたドメーヌの典型例だ。
フランスには、ボルドーのシャトー・ラグランジュのように企業が所有するワイナリーもあるし、ルロワ社のように高島屋が共同所有しているメゾン&ドメーヌもある。いずれも資本力がものをいう例だが、久美子夫人は土地に根付き、夫婦でこの老舗ドメーヌを切り盛りしている。日仏友好を地でいっている。そこが皇太子さまの訪問先に選ばれた理由でもあるのだろう。
久美子さんの手料理とともに、2017年を試飲した。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ サントネ・プルミエクリュ・クロ・デュ・パスタン ブラン 2017」(Domaine Fleurot-Larose Santenay 1er Cru Clos du Passe Temps Blanc 2017)は、2017年らしい熟度の高さがあり、レモンのコンフィ、洋ナシ、豊満で、フルーティ。やや熱さが残るフィニッシュ。88点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ・アベイ・ド・モルジョ 2017」(Domaine Fleurot-Larose Chassagne-Montrachet 1er Cru Abbaye de Morgeot 2017)は白桃のコンポート、マンダリンオレンジ、ほのかにヨード香、リッチなテクスチャー、まろやかで、果実は柔らかい。広がりがあり、フィニッシュは正確。「2017は2011に似ている」とニコラ。89点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ・クロ・ド・ラ・ロックモール 2017」(Domaine Fleurot-Larose Chassagne-Montrachet 1er Cru Clos de La Rocquemaure 2017)はモルジョ内のモノポール。目が詰まっていて、果実の集中力がある。正確なテクスチャー、洋ナシ、パイナップル、うまみが乗っている。89点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ バタール・モンラッシェ 2017」(Domaine Fleurot-Larose Batard-Montrachet 2017)は重厚で、しっかりしたストラクチャーのフルボディ。黄桃、ネクタリン、ナッティで、バタリーな風味。開放的で、力強いフィニッシュ。92点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ モンラッシェ 2017」(Domaine Fleurot-Larose Montrachet 2017)はややシャイで控えめ。フローラルで、白い花、トロリとした口当たり、粘度が高く、品格があり、ミネラル感に富むテクスチャー。エキスが詰まっていて、エネルギーの大きさを感じる。93点。
古いヴィンテージも試飲した中で、とりわけ印象に残ったのが「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ サントネ・プルミエクリュ・クロ・デュ・パスタン ルージュ 1976」(Domaine Fleurot-Larose Santenay 1er Cru Clos du Passe Temps Rouge 1976)。暑かった年で、果実味が衰えているワインが多いが、生き生きした果実が健在で、バランス感を保っている。湿った黒い土、なめし革、タバコ、精妙な土っぽさと腰の座ったストラクチャー。スモーキーなフィニッシュ。ニコラの父ルネの手になるワイン。91点。
ドメーヌ・フルーロ・ラローズのワインは、サンティール、ラ・ヴィネが輸入し、レストラン「アピシウス」(東京・有楽町)で楽しめる。
皇太子さまは日仏友好160周年で公式訪問中だった9月、コート・ドールの南端に近いサントネイ村のドメーヌを訪問された。中心街からちょっと離れたドメーヌの前の通りは封鎖して、収穫真っ最中の畑や19世紀からの歴史を有するカーヴを見学した。
ニコラ・フルーロはモノポールのサントネイ・プルミエクリュ・クロ・デュ・パスタンを案内し、一時期はロマネ・コンティが造られていたカーヴも案内した。皇太子さまはブドウ畑の知識も豊かで、試飲では熟練のテイスターぶりを発揮されたという。ランチは気取らない煮込み料理。ドメーヌのスタッフが給仕して楽しまれ、帰り際には、スタッフ全員に挨拶をされたという。ニコラは地元テレビ局の取材に「我々だけでなく、サントネイにとって名誉なこと」と答え、仲間の造り手たちから称賛されたという。
「人生で最も心に残る感動的な体験でした。日本人であることを改めて誇りに思いました」という久美子フルーロ夫人は2003年6月に結婚して15年目。温和な性格で、近所に暮らすDRCのオベール・ド・ヴィレーヌ夫妻やラルー・ビーズ・ルロワら大勢の造り手と親交を保っている。2人の子どもは既にドメーヌを継ぐつもりだという。一族の中でマダム・フルーロと呼ばれるのは久美子さんだけになった。
フルーロ・ラローズはブルゴーニュでも歴史の長い名門ドメーヌだ。クロード・フルーロが創業したのは1872年。ニコラ&久美子夫妻が暮らしてワインを造るシャトー・デュ・パスタン(Chateau du Passe Temps)を1912年に購入した。シャトーは1843年の建造。1869年にロマネ・コンティを購入したデュヴォー・ブロシェ家が、ヴォーヌ・ロマネからブドウを運んで、瓶詰め・保管していた歴史を有する。
モンラッシェは1918年、クロードの息子でニコラの祖父オーギュストが、ピュリニー・モンラッシェのシャルル・ドラピエから購入した。オーギュストから息子のルネへとドメーヌが継承され、子供の間で畑が分割されて、ニコラが引き継いだのは0.04haとなる。バタール・モンラッシェの一部もドルーアンに売却された。かつては広い畑を持っていたのに、代を重ねて分割されたドメーヌの典型例だ。
フランスには、ボルドーのシャトー・ラグランジュのように企業が所有するワイナリーもあるし、ルロワ社のように高島屋が共同所有しているメゾン&ドメーヌもある。いずれも資本力がものをいう例だが、久美子夫人は土地に根付き、夫婦でこの老舗ドメーヌを切り盛りしている。日仏友好を地でいっている。そこが皇太子さまの訪問先に選ばれた理由でもあるのだろう。
久美子さんの手料理とともに、2017年を試飲した。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ サントネ・プルミエクリュ・クロ・デュ・パスタン ブラン 2017」(Domaine Fleurot-Larose Santenay 1er Cru Clos du Passe Temps Blanc 2017)は、2017年らしい熟度の高さがあり、レモンのコンフィ、洋ナシ、豊満で、フルーティ。やや熱さが残るフィニッシュ。88点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ・アベイ・ド・モルジョ 2017」(Domaine Fleurot-Larose Chassagne-Montrachet 1er Cru Abbaye de Morgeot 2017)は白桃のコンポート、マンダリンオレンジ、ほのかにヨード香、リッチなテクスチャー、まろやかで、果実は柔らかい。広がりがあり、フィニッシュは正確。「2017は2011に似ている」とニコラ。89点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ・クロ・ド・ラ・ロックモール 2017」(Domaine Fleurot-Larose Chassagne-Montrachet 1er Cru Clos de La Rocquemaure 2017)はモルジョ内のモノポール。目が詰まっていて、果実の集中力がある。正確なテクスチャー、洋ナシ、パイナップル、うまみが乗っている。89点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ バタール・モンラッシェ 2017」(Domaine Fleurot-Larose Batard-Montrachet 2017)は重厚で、しっかりしたストラクチャーのフルボディ。黄桃、ネクタリン、ナッティで、バタリーな風味。開放的で、力強いフィニッシュ。92点。
「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ モンラッシェ 2017」(Domaine Fleurot-Larose Montrachet 2017)はややシャイで控えめ。フローラルで、白い花、トロリとした口当たり、粘度が高く、品格があり、ミネラル感に富むテクスチャー。エキスが詰まっていて、エネルギーの大きさを感じる。93点。
古いヴィンテージも試飲した中で、とりわけ印象に残ったのが「ドメーヌ・フルーロ・ラローズ サントネ・プルミエクリュ・クロ・デュ・パスタン ルージュ 1976」(Domaine Fleurot-Larose Santenay 1er Cru Clos du Passe Temps Rouge 1976)。暑かった年で、果実味が衰えているワインが多いが、生き生きした果実が健在で、バランス感を保っている。湿った黒い土、なめし革、タバコ、精妙な土っぽさと腰の座ったストラクチャー。スモーキーなフィニッシュ。ニコラの父ルネの手になるワイン。91点。
ドメーヌ・フルーロ・ラローズのワインは、サンティール、ラ・ヴィネが輸入し、レストラン「アピシウス」(東京・有楽町)で楽しめる。
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