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ワインでもロックでも、古典に立ち返るのは必要だ。発見がある。
年末にカリフォルニアの冷涼シャルドネばかり飲んでいる間に、ブルゴーニュを1本だけ開けた。フレデリック・コサールが2001、02年のみ手がけたピュリニー・モンラッシェ・レ・リュショ。ドメーヌ・ド・シャソルネイで幻のキュヴェとして話題になった。現在はネゴシアンとして生産している。
裏ラベルがないから、ドメーヌでフレデリックからもらったようだ。当時輸入していた新井順子さんが絶賛していた記憶がある。といっても、ピュリニーをすぐに飲むのは無理がある。10年近く寝かせて正解だった。
澱の多さにに驚いた。デゴルジュマン前のシャンパーニュ並み。ろ過していない証拠だ。忘れもしない。白ワインの澱に初めてショックを受けたのは、コシュ・デリのムルソー・レ・ルージョだった。ゴミのように底にたまっていた。90年代半ばの話。86年が7000円だった。勇気を出して買ったのだが、今の値段を考えると、それでもかなり安かった。
ろ過については、ミシェル・シャプティエは「コンドームをしてセックスするようなもの」と否定的。対して、ドゥニ・デュブルデュー教授は「レーダーなしで成田に着陸するようなもの」と、必要性を訴える。今回、飲んでみてやはり無ろ過は正しいと思った。
張り詰めた緊張感の中に、ダシ的なうまみがあふれている。濃い黄金色。グラがたっぷり。マロングラッセ、煎ったヘーゼルナッツの香りが白トリュフに発展する。甘みすら感じるほど熟しているが、ビシッと酸の背骨が通っている。ムルソーではなく、まぎれもなくピュリニーの血統を感じさせる。
レ・リュショは村の集落からムルソーに向かう道の脇に広がる。どのようにしても村名格の立地でしかない。しかし、この気品と優雅さはどうだ。複雑性は及ばないが、奥行きと長さは並みの造り手の1級どころか、下手なバタール・モンラッシェをしのぐ。2日かけて飲んだが、衰えることがない。澱のたまった底に近づくほどうまみが増す。まさに飲み頃。酸と果実のバランスが抜群だった。
フレデリックのワインは、早く飲まれすぎる。10年は置いてから味わいたい。改めてそう思った。ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・デ・アルジリエール1997もそうだった。十数年目で真価を発揮した。コサールにオフヴィンテージはない。現在の在庫も当分、放置しておこう。このピュリニーはもうないけれど……。
(2013年12月 自宅で)
ドメーヌ・ド・シャソルネイ ピュリニー・モンラッシェ・レ・リュショ 2001
フレデリック・コサールのお土産
死ぬまでにもう一度飲みたい度:94点
年末にカリフォルニアの冷涼シャルドネばかり飲んでいる間に、ブルゴーニュを1本だけ開けた。フレデリック・コサールが2001、02年のみ手がけたピュリニー・モンラッシェ・レ・リュショ。ドメーヌ・ド・シャソルネイで幻のキュヴェとして話題になった。現在はネゴシアンとして生産している。
裏ラベルがないから、ドメーヌでフレデリックからもらったようだ。当時輸入していた新井順子さんが絶賛していた記憶がある。といっても、ピュリニーをすぐに飲むのは無理がある。10年近く寝かせて正解だった。
澱の多さにに驚いた。デゴルジュマン前のシャンパーニュ並み。ろ過していない証拠だ。忘れもしない。白ワインの澱に初めてショックを受けたのは、コシュ・デリのムルソー・レ・ルージョだった。ゴミのように底にたまっていた。90年代半ばの話。86年が7000円だった。勇気を出して買ったのだが、今の値段を考えると、それでもかなり安かった。
ろ過については、ミシェル・シャプティエは「コンドームをしてセックスするようなもの」と否定的。対して、ドゥニ・デュブルデュー教授は「レーダーなしで成田に着陸するようなもの」と、必要性を訴える。今回、飲んでみてやはり無ろ過は正しいと思った。
張り詰めた緊張感の中に、ダシ的なうまみがあふれている。濃い黄金色。グラがたっぷり。マロングラッセ、煎ったヘーゼルナッツの香りが白トリュフに発展する。甘みすら感じるほど熟しているが、ビシッと酸の背骨が通っている。ムルソーではなく、まぎれもなくピュリニーの血統を感じさせる。
レ・リュショは村の集落からムルソーに向かう道の脇に広がる。どのようにしても村名格の立地でしかない。しかし、この気品と優雅さはどうだ。複雑性は及ばないが、奥行きと長さは並みの造り手の1級どころか、下手なバタール・モンラッシェをしのぐ。2日かけて飲んだが、衰えることがない。澱のたまった底に近づくほどうまみが増す。まさに飲み頃。酸と果実のバランスが抜群だった。
フレデリックのワインは、早く飲まれすぎる。10年は置いてから味わいたい。改めてそう思った。ニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・デ・アルジリエール1997もそうだった。十数年目で真価を発揮した。コサールにオフヴィンテージはない。現在の在庫も当分、放置しておこう。このピュリニーはもうないけれど……。
(2013年12月 自宅で)
ドメーヌ・ド・シャソルネイ ピュリニー・モンラッシェ・レ・リュショ 2001
フレデリック・コサールのお土産
死ぬまでにもう一度飲みたい度:94点
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