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ワイン造りを志す人へ、「ボルドーでワインを造ってわかったこと (日本ワインの戦略のために) 」刊行

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 ワイン本には様々な切り口がある。最も多いのは入門書で、残るはテイスティング、産地解説、ビジネス関連など多岐にわたっている。本書はそのどれとも違っている。ワイン造りを志す人に最も役立つ実用書である。

 ワインの勉強をする時、最も敷居が高いのが栽培と醸造の分野だろう。こればかりはいくら本を読んでも実感が得られない。畑を歩き、醸造施設を見学し、造り手の話を聞かなければ身につかない。通常はだれでもできることではない。著者の安蔵光弘さんは日本を代表するシャトー・メルシャンのチーフワインメーカー。ボルドーのシャトーで働いた4年間の経験を基に、実際のワイン造りを核に据えた。

 ブドウの栽培から醸造までの細部を、手に取るように解説している。日本語でこれだけ丁寧にワイン造りを解説した本は初めて。造り手を目指す日本人がここに詰まった情報を手に入れようとしたら、英語の専門書を読み漁り、ワイナリーで研修する必要があるだろう。ジャンシス・ロビンソンの「オックスフォード・コンパニオン・トゥ・ワイン」で、醸造や栽培の用語を調べたら、本書で対応する部分を読む。そうすると、具体的なイメージがわいて、理解が深まるだろう。

 愛好家が読んだとしても、難解なわけではない。専門用語に安易に流されることなく、ワイン好きならだれもがわかるように書き連ねている。発酵の温度、ルモンタージュの実際、クローンや台木の種類など、ワインを深く理解するための情報が詰まっている。歴史やテイスティングの紹介にも発見が多い。
 
 一気に通読するのが重い人は、ひとまず手元において、ワイン造りやボルドーの歴史で疑問点が生じたら、対応するページをめくるといいだろう。いつの間にか全編を読んでいるに違いない。

 2600円。イカロス出版。

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