気楽でお買い得なイタリアン、マシャレッリのモンテプルチアーノ・ダブルッツオ

　シリアスでなく、カジュアルなワインで流したい。そんな気分の時はイタリアを開けるのがいい。国際品種ではなく、土着品種。赤ならアブルッツォ州のモンテプルチアーノ・ダブルッツオ、白ならヴェルディッキオあたりが思い浮かぶ。

　モンテプルチアーノ・ダブルッツオには、偉大なワインがいくつもあるが、気軽にピザでもつまむのなら、マシャレッリのベーシックなキュヴェで事足りる。フルーティで、品種特性が出ていて、懐もいたまない。亡きジャンニ・マシャレッリは国際品種を導入したことで、イタリア愛好家から白い目で見られだが、アブルッツォに世界の目を向けさせた意義は大きい。ヴァレンティーニが偉大なのは言うまでもないが、DRCや1級シャトーと同じく、毎日飲むワインではない。

　「マシャレッリ　モンテプルチアーノ・ダブルッツオ　2013」（Masciarelli Montepulciano d'Abruzzo 2013）はブラックラズベリー、ブラッドオレンジ、ナツメグ、ジューシーで、軽やかなテクスチャー。果実の凝縮感には欠けるが、アーシーで、ほのかにタバコのアロマ。ややダスティなタンニン。ピザやサラミ、バーベキューにうってつけ。1700円はお買い得。実売価格は1500円を切っている。オーデックス。86点。

　アドリア海に面したマルケ州から生まれるヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージは海のワインだ。水のようなワインも多いが、ブッチ、コロンチーノ、サルタレッリあたりを選べば間違いない。魚介類の良き伴侶となる。サルタレッリで最もお買い得なのは、ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ・クラシコ。ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ・クラッシコ・スペリオーレ・トラリヴィオも鉄板だが、今回は遅摘みのヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ・クラッシコ・スペリオーレ・バルチャーナを開けた。

　「サルタレッリ　ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージ・クラッシコ・スペリオーレ・バルチャーナ　2010」（Sartarelli Verdicchio dei Castelli di Jesi Classico Superiore Balciana 2010)は、濃い黄金色、ねっとりとしたテクスチャー、熟した白桃、アプリコット、ライムの皮、苦り塩、ほのかな貴腐菌がハチミツのトーン、厚み、エキゾチックな複雑さを加えている。横に広がるヴォリューム感がフィニッシュでは、ナイアガラの滝のように雪崩落ちて、余韻はほろ苦い。エネルギーの詰まったワインだ。オリーブオイルや火を使う魚料理に合う。5200円。テラヴェール。90点。