世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. 高コスパのナパ・セラーズ、カルトワインをほうふつ

高コスパのナパ・セラーズ、カルトワインをほうふつ

  • FREE
 ちょっと驚いたカリフォルニアワインがある。しっかりした味わいと値段の安さに。その名はナパ・セラーズ。

 ありきたりな名前だ。ラベルも冴えない。でも、手に持ったときの感触は只者ではない。オーパスワンのように重いボトルだ。期待を抱かせる。ワイナリーも、オーパスワンやロバート・モンダヴィが軒を連ねるオークヴィルにある。

 オークヴィルは隣接するラザフォードと並んで、カリフォルニアの、いやナパヴァレーの中心地だ。モンダヴィが名を上げたトカロンやジョー・ハイツが手がけたマーサズなどの銘醸畑が密集している。東にスクリーミング・イーグル、西にハーラン・エステートというカルトワインの横綱が控えている。ボルドーで言えば、ポイヤックに比肩する産地といっていい。

 このワイン。カリフォルニアワインで日本最高の専門家から勧められて飲んだ。やまやで2000円で売っているのが、信じられない味だった。凝縮しているが、くどすぎない果実味。キルシュ、ブラックベリージャムの香り。ポートのような風味もあるが、バランスがとれていて、もう1杯と手が伸びる味わいだ。

 アルコール度は14・1%。ちょうどいい。これが14・5%になるとつらくなってくる。ボルドーも2010年は14%のワインがたくさん生まれた。「カルトワインの味がする」という触れ込みで飲んだのだが、本当だった。この値段で買えるカリフォルニアでは最高の味わいではないか。2000円ではろくでもないチリワインも買えない。

 ホームページを見ても、特に変わったことはない。生真面目に造っているようだ。それでこの味わいなのだから、やはりテロワールが優れているのか。オークヴィルは全体に水はけがよく、ブドウはよく熟すが、サン・パブロ湾の影響で冷涼だ。そこがバランスの良さを産んでいるのだろう。
 ナパのカベルネは一口飲んだら十分というものも多いが、これは一気に1本飲みたくなる味わい。平日でなかったら、そうしていたかもしれない。

 ムートン・ロートシルトの隣にあるポンテ・カネの品質が優れているのと同じなのか。久しぶりにリピートしたくなるナパ・カベであった。

(2013年12月 自宅で)
ナパ・セラーズ カベルネ・ソーヴィニヨン 2009
輸入元:やまや 2000円前後
週に一度は飲みたい度:89点

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP