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東北地方の各県でワイナリーが増えているが、伝統と歴史を誇るのは山形県である。さくらんぼ、ブドウ、ラ・フランスなどの果物を産む果樹王国であり、デラウェアの生産量は日本一である。山に囲まれ、昼夜の寒暖差が大きく、ブドウ栽培に適している。
山形県産ブドウ発祥の地とされる南陽市には、4社のワイナリーがあり、地元産ブドウを使用して個性的なワイン造りを進めている。「酒井ワイナリー」は1892年創業。東北最古のワイナリー。家族経営でヨーロッパ品種や国産品種を栽培している。1939年に創業した「大浦葡萄酒」はスパークリングやアイスワインにも取り組んでいる。「佐藤ぶどう酒」と「須藤ぶどう酒工場」は、自社畑ブドウを家族経営で丁寧に醸造している。
山形をワイン産地として有名にしたのが、上山市の「タケダワイナリー」だ。武田重信さんが1960年代後半、土壌改良やヨーロッパ産ブドウの導入を進め、長男の伸一さんが日本初の本格的なスパークリングワイン「キュベ・ヨシコ」を生産。後を継いだ岸平典子さんが、デラウェアのペティヤンや亜硫酸無添加のサンスフル・シリーズなどに取り組んでいる。大半を自然酵母で発酵させ、有機的な栽培に力を入れている。上山には、ウッディ・ファーム&ワイナリーのように、栽培農家が興したワイナリーも登場している。
東北で最大手の「高畠ワイナリー」は、雪深い高畠町で、UCデイヴィスで学んだワインメーカーの川邉久之さんが新世界の知見も生かして、国際品種から独創的なワインを生産している。歴史の長い日本酒の蔵から始まったワイナリーもある。200年前に創業した「天童ワイン」はシャルドネで成功し、米沢盆地の「シャトーモンサン」はボルドー・ブレンドに挑戦している。
また、朝日町とJAさがえ西村山の共同出資による第三セクター方式の「朝日町ワイン」は、マスカット・ベーリーAで評価を上げ、ボルドー品種やツヴァイゲルトレーベにも取り組んでいる。
今回は山形県の13ワイナリーに呼びかけて、12ワイナリーからサンプルの提供を受けた。ワイナリーを代表する銘柄の送付をお願いして集まったのは25銘柄。3人のレギュラー・テイスターに加えて、オーストラリアのジャーナリスト、マイク・ベニーとニュージーランドのサム・ハロップMWも参加して、昨年9月に2回にわたり試飲した。平均点が85点以上の9本を掲載する。タケダワイナリーから6銘柄、ウッディ・ファーム&ワイナリー、高畠ワイナリー、朝日町ワインから各1銘柄が優良(85-89点)だった。
ワインの試飲コメントはこちhttps://www.winereport.jp/archive/1493/
サンプル提供を受けたのは以下の12ワイナリー。
朝日町ワイン
月山ワイン山ぶどう研究所
ウッディ・ファーム&ワイナリー
大浦葡萄酒
高畠ワイナリー
シャトーモンサン
佐藤ぶどう酒(金渓ワイン)
月山トラヤワイナリー
天童ワイン
タケダワイナリー
須藤ぶどう酒工場
酒井ワイナリー
山本昭彦
「冷涼な土地で、生産者が自社ブドウを主体に賢明な取り組みをしていることが伝わってきた。凝縮度を求めるのはなかなか難しい産地なので、行き過ぎない樽使いが好ましい。タケダワイナリーのスパークリングは日本が誇れるワインの1つ。熟成したボトルでポテンシャルを確認した。若い造り手が登場しているのが期待を抱かせる」
大橋健一
「日本を代表し得る著名産地だけに、非常に興味の高いテイスティングであった。一言でいえば、今後、ワイナリー醸造における酸素とのつきあい方がテーマのように思える。幾分酸化気味の余韻を見せるワインが散見されたのが現実だ。酸素をうまくコントロールしきらないと、世界市場では減点対象の要素とされてしまう可能性がある。同時に樽の使い方においても、よりインテグレーションを得るための工夫の余地がある」
大越基裕
「タケダワイナリーは昔からよく知っているワイナリー。デラウェアのペットナットは、心地よくバランスの良い残糖もあり、カジュアルな料理に使いやすい。この地方全体的には、果実が控えめなのに樽が強く、アフターに果実が伸びてこないものものが目立った。早くから飲めるようにするためには、タンニンの抽出や樽に工夫が必要なワインが全体的にみられた。」
マイク・ベニー
「楽しく、ユニークな経験をした。日本の北の土地でシャルドネを造っているのは興味深い。ユニークな品種があり、多様性があった。高畠ワイナリーはオークと抽出がやや強すぎる。タケダワイナリーの蔵王スターはシンプルだが、毎日飲める。スパークリングはクレバーな造りで、複雑性のあるエキサイティングなワインだった。サン・スフルは、チャレンジングではないが、楽しめ、深みがある」
山形県産ブドウ発祥の地とされる南陽市には、4社のワイナリーがあり、地元産ブドウを使用して個性的なワイン造りを進めている。「酒井ワイナリー」は1892年創業。東北最古のワイナリー。家族経営でヨーロッパ品種や国産品種を栽培している。1939年に創業した「大浦葡萄酒」はスパークリングやアイスワインにも取り組んでいる。「佐藤ぶどう酒」と「須藤ぶどう酒工場」は、自社畑ブドウを家族経営で丁寧に醸造している。
山形をワイン産地として有名にしたのが、上山市の「タケダワイナリー」だ。武田重信さんが1960年代後半、土壌改良やヨーロッパ産ブドウの導入を進め、長男の伸一さんが日本初の本格的なスパークリングワイン「キュベ・ヨシコ」を生産。後を継いだ岸平典子さんが、デラウェアのペティヤンや亜硫酸無添加のサンスフル・シリーズなどに取り組んでいる。大半を自然酵母で発酵させ、有機的な栽培に力を入れている。上山には、ウッディ・ファーム&ワイナリーのように、栽培農家が興したワイナリーも登場している。
東北で最大手の「高畠ワイナリー」は、雪深い高畠町で、UCデイヴィスで学んだワインメーカーの川邉久之さんが新世界の知見も生かして、国際品種から独創的なワインを生産している。歴史の長い日本酒の蔵から始まったワイナリーもある。200年前に創業した「天童ワイン」はシャルドネで成功し、米沢盆地の「シャトーモンサン」はボルドー・ブレンドに挑戦している。
また、朝日町とJAさがえ西村山の共同出資による第三セクター方式の「朝日町ワイン」は、マスカット・ベーリーAで評価を上げ、ボルドー品種やツヴァイゲルトレーベにも取り組んでいる。
今回は山形県の13ワイナリーに呼びかけて、12ワイナリーからサンプルの提供を受けた。ワイナリーを代表する銘柄の送付をお願いして集まったのは25銘柄。3人のレギュラー・テイスターに加えて、オーストラリアのジャーナリスト、マイク・ベニーとニュージーランドのサム・ハロップMWも参加して、昨年9月に2回にわたり試飲した。平均点が85点以上の9本を掲載する。タケダワイナリーから6銘柄、ウッディ・ファーム&ワイナリー、高畠ワイナリー、朝日町ワインから各1銘柄が優良(85-89点)だった。
ワインの試飲コメントはこちhttps://www.winereport.jp/archive/1493/
サンプル提供を受けたのは以下の12ワイナリー。
朝日町ワイン
月山ワイン山ぶどう研究所
ウッディ・ファーム&ワイナリー
大浦葡萄酒
高畠ワイナリー
シャトーモンサン
佐藤ぶどう酒(金渓ワイン)
月山トラヤワイナリー
天童ワイン
タケダワイナリー
須藤ぶどう酒工場
酒井ワイナリー
山本昭彦
「冷涼な土地で、生産者が自社ブドウを主体に賢明な取り組みをしていることが伝わってきた。凝縮度を求めるのはなかなか難しい産地なので、行き過ぎない樽使いが好ましい。タケダワイナリーのスパークリングは日本が誇れるワインの1つ。熟成したボトルでポテンシャルを確認した。若い造り手が登場しているのが期待を抱かせる」
大橋健一
「日本を代表し得る著名産地だけに、非常に興味の高いテイスティングであった。一言でいえば、今後、ワイナリー醸造における酸素とのつきあい方がテーマのように思える。幾分酸化気味の余韻を見せるワインが散見されたのが現実だ。酸素をうまくコントロールしきらないと、世界市場では減点対象の要素とされてしまう可能性がある。同時に樽の使い方においても、よりインテグレーションを得るための工夫の余地がある」
大越基裕
「タケダワイナリーは昔からよく知っているワイナリー。デラウェアのペットナットは、心地よくバランスの良い残糖もあり、カジュアルな料理に使いやすい。この地方全体的には、果実が控えめなのに樽が強く、アフターに果実が伸びてこないものものが目立った。早くから飲めるようにするためには、タンニンの抽出や樽に工夫が必要なワインが全体的にみられた。」
マイク・ベニー
「楽しく、ユニークな経験をした。日本の北の土地でシャルドネを造っているのは興味深い。ユニークな品種があり、多様性があった。高畠ワイナリーはオークと抽出がやや強すぎる。タケダワイナリーの蔵王スターはシンプルだが、毎日飲める。スパークリングはクレバーな造りで、複雑性のあるエキサイティングなワインだった。サン・スフルは、チャレンジングではないが、楽しめ、深みがある」
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