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電車道で寄り切られる、フェルシナのキアンティ・クラッシコ2015

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 キアンティ・クラッシコに目覚めたのは1997年を山ほど飲んでからだ。何かのワイン雑誌に「買えるだけ買え」とあり、手当たり次第に購入した。3000円前後で買えたキアンティの美しさを通じて、サンジョヴェーゼの魅力を発見した。まだ寝かせてあるが、サン・ジュスト・ア・レンテンナーノのペルカルロですら6000円で手に入った。
 2015年は1997年に通じる魅力がある。7月が記録的に暑く、8月の少量の雨と気温の低下により、フェノリックの成熟ときれいな酸が得られ、ゴージャスでエレガントな酒質に仕上がった。サンジョヴェーゼ本来の酸を保ちながら、タンニンと果実の熟度が素晴らしい。ハイエンド・ワインの評価が高いようだが、エントリーレベルの質も高い。フォントディと並んで信頼できるフェルシナの、素晴らしい仕上がりに興奮させられた。
 「フェルシナ キアンティ・クラッシコ・ベラルデンガ 2015」(Felsina Chianti Classico Berardenga 2015)は電車道相撲で寄り切られる。豊満な果実が直球で飛び込んでくる。レッドチェリー、ガリーグ、タバコ、削り出した岩のようなミネラル、まろやかなテクスチャー。凝縮しているがどこまでもエレガントで、バルサミックな酸が後半に持ち上がる。10年は楽に熟成するだろう。久しぶりにまとめ買いしたいワインに出会った。3200円。92点。
 「フェルシナ キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ 2013」(Felsina Chianti Classico Riserva 2013)は、ギュッと凝縮した果実が詰まっている。ダークチェリー、リコリス、鉛筆の芯、タンニンと酸が一体化していて強固なストラクチャー。うまみがあふれていて、長くてち密なフィニッシュは極めてフレッシュ。エネルギーの波動を感じる。4800円。94点。
 「フェルシナ フォンタローロ 2010」(Felsina Fontalloro 2010)は、生き生きした果実、ブラックチェリー、タップナード、鉄分を帯びた黒い岩、なめらかなテクスチャー。酸、タンニン、果実、あらゆる要素があるべきところにあり、破綻がない。ジューシーなうまみが、丸いバランス感を生んでいる。最後まで酸が張り詰めて、緊張感を保っている。6800円。94点。
 フォンタローロはキアンティ・クラッシコ南端のカステルヌォヴォ・ベラルデンガとキャンティ・コッリ・セネージのブドウのブレンド。それゆえIGTを名乗る。元教師のジュゼッペ・マッツォコリンのビジョンと、ミスター・サンジョヴェーゼのコンサルタント、フランコ・ベルナベイの手腕が合体した傑作である。マッサール・セレクションにより多彩なクローンを増やし、泥灰岩、石灰岩、砂、シストが複雑に入り組む土壌の畑に植え付けて、ブレンドし、この地のサンジョヴェーゼの力を引き出している。
 1966年に創設されたフェルシナほど、安定した高品質のワインを生産し続けるファットリアはそう多くない。何はともあれ2015は買えるだけ買いたいヴィンテージである。
 輸入元はテラヴェール。

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