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サントリーが買収したボルドーの3級格付けシャトー・ラグランジュの再生を関係者の取材で描いた「シャトーラグランジュ物語」が刊行された。
ラグランジュはサンジュリアン村の3級に格付けされたが、スペインのセンドーヤ家が投資を怠って荒廃していたのを、サントリーが1983年に購入して立て直した。30周年に合わせてドキュメンタリーを集大成した。日本人がエコノミック・アニマルと批判され、ボルドーの格付けの価値も日本人は知らなかった時代の話だ。サントリーの社員が、文化の違いを乗り越えて、再建を達成したさまを、関係者への取材で描き出した。
中心人物は09年に亡くなった鈴田健二氏。副会長として、保守的なボルドーに乗り込み、東京の本社とパイプをつなぎ、現地に溶け込む苦労はサラリーマンなら容易に想像がつく。経営トップとのあつれきなど、山崎豊子の企業小説を超えるリアリティをもって迫ってくる。
本書が単なる企業小説にとどまらないのは、ワイン造りという大きな夢に向かって前進する男たちのロマンがあふれているから。そこに、ブドウ栽培やワイン醸造の知識を織り交ぜながら、ワイン愛好家なら胸が熱くなる読み物となっている。鈴田氏の後を継ぐ椎名敬一副会長のビジョンも盛り込まれ、未来への希望をつなぐ物語となっている。
新潮社。1575円。
ラグランジュはサンジュリアン村の3級に格付けされたが、スペインのセンドーヤ家が投資を怠って荒廃していたのを、サントリーが1983年に購入して立て直した。30周年に合わせてドキュメンタリーを集大成した。日本人がエコノミック・アニマルと批判され、ボルドーの格付けの価値も日本人は知らなかった時代の話だ。サントリーの社員が、文化の違いを乗り越えて、再建を達成したさまを、関係者への取材で描き出した。
中心人物は09年に亡くなった鈴田健二氏。副会長として、保守的なボルドーに乗り込み、東京の本社とパイプをつなぎ、現地に溶け込む苦労はサラリーマンなら容易に想像がつく。経営トップとのあつれきなど、山崎豊子の企業小説を超えるリアリティをもって迫ってくる。
本書が単なる企業小説にとどまらないのは、ワイン造りという大きな夢に向かって前進する男たちのロマンがあふれているから。そこに、ブドウ栽培やワイン醸造の知識を織り交ぜながら、ワイン愛好家なら胸が熱くなる読み物となっている。鈴田氏の後を継ぐ椎名敬一副会長のビジョンも盛り込まれ、未来への希望をつなぐ物語となっている。
新潮社。1575円。
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