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バロネスの長男、2008ムートンをプロモーション

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 シャトー・ムートン・ロスチャイルドの後継者フィリップ・セレイ・ド・ロスチャイルド氏が、シャンパーニュ「バロン・ド・ロスチャイルド」のプロモーションで来日し、東京・広尾の天ぷら「ねぎ坊主」で開かれたランチでムートンの2008年を供した。

 フィリップ・セレイはムートン・ロスチャイルドの持ち株会社バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド(BphR)社のオーナーであるフィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人の長男。63年生まれ。BphRのヴァイス・プレジデントを務め、シャンパーニュ・バロン・ド・ロスチャイルド社CEOでもある。

 ムートン2008はチャーミングだった。果実味がたっぷりで、既に楽しめる。1997年の飲みやすさを思い出させるが、骨格と奥行きははるかにまさり、長期の熟成に絶える。フィリップ・ダルーアンの選別や樽使いなど細部のチューニングの成果だろう。

 2013年はほかのシャトーと同様に簡単な年ではなかった。

 「通常は2週間かける収穫を4、5日間で集中的に行った。カベルネ・ソーヴィニヨンの年だ。選果を厳しく行った。数年前から導入している光学式の選果機はデリケートで、問題のない果実まではねてしまうので、人間の目に頼った。結果は好ましいものだ」

 ボルドー人はボルドーばかり飲む傾向にあるが、様々なワインを楽しむという。

 「シャンパーニュとボルドーが好きだ。オークションで買ったサロン1990などをセラーにしまってある。チリやイタリアも好きだ。ブルネッロ・ディ・モンタルチーノもよく飲む」

 ルイ・ロデレールのフレデリック・ルゾー社長にクリスマスに飲むワインをたずねたら、即座に返事が返ってきた。クリスタルに始まり、ド・ペズとピション・ラランドを飲んで、最後はラモス・ピントスのポートだった。すべて自分の所有するワイナリーでそろうのが強みだ。

 「フレデリックはそういう男だ。常に細部まで計算している。私は気まぐれだ。思いつきで行動する。24時間前まで決まっていないと思う」

 フィリップは母親と同じカウンター席に座り、シャンパーニュとムートンを楽しんだ。左利きで、箸使いは得意ではないようで、母と同じく手づかみで天ぷらを食べる場面も見られた。

 ロスチャイルド家はワイナリーだけでなく金融業なども手がけ、世界でも有数のリッチな一族。1933年生まれのフィリピーヌ男爵夫人は、世界の億万長者番付でも数百番に入っている。フィリピーヌの母はナチスの収容所で亡くなった。フィリップ・セレイの祖父はフィリップ男爵。シャトーの元詰めを始め、ムートンを1級に昇格させた伝説的な人物だ。

 「フィリップは人生の達人だった。特別な存在だ、ユーモアがあり、物の見方がユニークだった。名門の一族に生まれたことについてどう思うか?と。人は物事をややこしくしている。私には義務がある反面、自由もある。可能性を生かす人生を送りたい。話は簡単だ」

 問い合わせはエノテカ。

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