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日本の1人当たりのワイン消費量は3.7本…2011年

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ヴィノテーク2011年4月号掲載

 ワインブームといわれて久しい。ブームではなく、定着しているともいわれる。民放のオシャレなドラマだけでなく、NHKのドラマにもワインが登場している。NHKの番組作りは保守的だから、そこに小道具としてワインを使うのは、国民生活に浸透していることを表していると言える。
 そう思っていたら、考えを改めざるを得なかった。日本の成人人口1人当たりの年間ワイン消費量は約3・7本であることがわかった。世界最大のワイン&スピリッツ見本市「ヴィネクスポ」事務局が、委託した英国の調査会社IWSR社の調査を発表した。量にすると、2009年のスティルワインとスパークリングワインの1人当たり消費は2・8リットル。2005年の2・3リットルより21・74%増えたが、2014年の消費量も2・8リットルで、横ばいと予想されている。
 365日間、ワインを開けている人間としては信じがたいが、これが現実である。
 最も多いのはフランスで57・8リットル。約77本。それでも、減少傾向はとまらない。イタリアが56リットルでこれに続く。3位以下は、スイス、ポルトガル、デンマークと意外な顔ぶれが続き、6位にドイツが顔をのぞかせる。
 国としての消費量を見ると、トップがイタリアで、2位が米国、3位にフランスと続く。米国は2012年に世界最大の消費国になることが確実視されている。その米国の1人当たり消費量は12・2リットルで15位。日本と同じで、少数の人間が大量の比較的高価なワインを飲んでいると見られる。日本と似ている。日本の輸入ワイン1本当たりの平均単価は11・36ドル。インド、シンガポール、ノルウェーに次いで世界4位。世界で最も高い部類に属する。
 日本ではワインのニュースが、新聞やテレビで取り上げられる機会が増えた。ボジョレー・ヌーヴォーは依然として、世界一の輸入国であり続けている。最近では、大手流通グループが導入した500円前後のワインも話題になった。しかし、暮らしに溶け込んでいるとは言い難いのが現状だろう。高価なグランヴァンやシャンパーニュとワンコインワインの間があきすぎている。
 そもそも、ワンコインワインで消費が拡大するのかどうかは疑問だ。あるインポーターの試算によると、日本にワインを輸入すれば、関税、酒税、消費税に加えて、ドライの船便輸送を使うとしても、最低で300円のコストがかかる。これに、国内での流通コスト、小売店の利益を考慮すると、原料のブドウやワインにかけられるコストは1ドルを切るだろう。健康飲料のように工場で大量生産されているのかもしれない。そんなワインを飲んだ人が、ワインの魅力を発見するだろうか。
 ワインの消費拡大に求められるのは、1000円から3000円の範囲内で買えるデイリーワインの充実である。普通の人間はワインをわざわざ専門店やネットショップで買わないから、近くのスーパーの品ぞろえを充実させるのが近道となる。この分野が、日本はまた遅れているのだ。
 ヴィネクスポ専務理事のロベール・ベナは「日本人がスーパーで買うワインの比率は他国に比べて低い。30%台にすぎない。米国は50%台。これは州によって法律が違うから仕方ない。英国もフランスも80%を上回っている」と明かす。
 
肩書は当時のまま
数少ないワイン消費の1本がボジョレー・ヌーヴォー

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