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ルロワに失望はなし、1988のニュイ・サン・ジョルジュのブド

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 ルロワの古いボトルを久しぶりに開けた。残り少ない1988年。ドメーヌを設立したデビューのヴィンテージだ。

 きっかけは、土壌微生物学の権威クロード・ブルギニヨン夫妻との話。クロードは、ドメーヌ・ルロワがビオディナミに転換したのが1994年だという。様々な文献は1988年としている。記憶違いなのだろうか。

 ルロワは88年にシャルル・ノエラを買収し、ヴォーヌ・ロマネの村にあるドメーヌの建物、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、クロ・ド・ヴージョ、ニュイ・サン・ジョルジュのブドとヴィニュロンド、ヴォーヌ・ロマネのボーモンとブリュレを手に入れた。89年にはフィリップ・レミからクロ・ド・ラ・ロッシュ、ラトリシエール・シャンベルタン、シャンベルタンも獲得した。

 買収額はそれぞれ、6500万フラン、1900万フランと言われている。かなりの高値だが、現在よりはるかに安い。資金を支援した高島屋の先見の明があった。ルロワがブルゴーニュの頂点に登ることを予見していたのか。フォションもペックも専売しているわけで、目利きを育てているのだろう。

 クロードは「急速にビオディナミに転換したため、うどん粉病の発生に対応できなかった」と話していた。93年のベト病による収量の激減などある程度は、当たっているのだろう。問題はいつ転換したかより、ルロワの現在の高品質がいつ確立されたかだ。私の経験では、90年代後半から安定感が増し、99年以降は無敵だ。2000、2001年も死角がない。2004年を除いては。

 88年は記念すべきデビュー作だが、最初は果実と酸がバラバラな印象を受ける。それは10年以上前に、英国のワイン商とヴォーヌ・ロマネ・ボーモンを飲んで以来、変わらない。今回も、煮詰めたオレンジの皮、スーボワの香りがあり、ちょっと土臭くて、がっしりしたタンニン。ニュイのブドらしい熟成感だが、ルロワらしいまとまりに欠ける。ちょっと残念……。

 飲んでいる間にドライアウトするかと思ったら、そんなことはなかった。後半になって整合性が出てきて、パレットの上で甘くなる。購入したばかりの畑で苦労したのだろうが、ここらがさすがにルロワ。最後はねじふせられてしまう。

 色合いからして、まだ5年は熟成の余地がある。しかし、今が飲み頃だったのだろう。88年らしい酸が熟成の支えとなっていた。ハードルが高いために、求めすぎてしまうが、やはりルロワに失望させられることはない。

 今回は赤坂のフレンチ「LYLA」のランチに合わせて。ここは2か月で3度も通ってしまった。今年最大の発見の一つだ。火入れ、素材の吟味、創造力。どれをとっても輝いている。タイユヴァンで修行したので、クラシックな料理もこなせる。やはり基本ができてこそ、その上のプラスアルファがものを言う。ミシュランの1つ星は軽くとれる力がある。

 ”真珠”の入ったホタテ、リモンチェッロを使った魚、低温調理の鴨などいつも驚きのある皿ばかりだ。

(2013年11月 赤坂のフレンチ「LYLA」)
ドメーヌ・ルロワ ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ブド 1988
購入先:米西海岸のショップ 400ドル
死ぬまでにもう一度は飲みたい度:93点

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