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気候変動はワインのスタイルを変える。シャンパーニュでは糖度がとりわけ影響を受ける。気温だけでなく栽培醸造の技術の進化も、アルコール度の上昇をもたらしている。
短期的には熟度の上昇はプラスに働くが、長い目で見るとヴィニュロンの悩みの種になる。ミニエール F&Rは2018年のブラン・ド・ブラン「レ・モワノー」を市場に出さず、セラーにストックしている。当主のフレデリック・ミニエールには、熟度が上がって残糖が多く、ミニエールのスタイルにふさわしくないと感じたからだ。変化を見てどうするか考えている。
砂地土壌のシャルドネへの対応
アルコール度の上昇をいかに避けるか
温暖化にはいくつかの対応策が考えられる。収穫を早める。マロをブロックする。二次発酵用の酵母を変更する……。
シャルドネ単独のリューディ「レ・モワノー」は水はけのよい砂地土壌。暑い夏には残糖が残りやすい。チョーク質のコート・デ・ブラン地区のように、保水性の高さで暑い夏をしのげる土壌とは異なる。フレデリックは早めの収穫や異なる酵母を使うことを考えている。
シャンパーニュは醸造過程でアルコール度が1%上がる。潜在アルコール度が11%なら適正だが、12%を超すと最終的アルコール度は13%を超える。ヴォリューム感が出て重くなる。温暖化は重要な課題をつきつけている。
いずれにせよ、自分の好まないスタイルのシャンパーニュをリリースしないフレデリックは信念に正直なヴィニュロンである。かわりに2019を試飲した。
「ミニエール F&R レ・モワノー 2019」(Miniere F&R Les Moineaux 2019)は切りたてのりんご、白桃、新鮮なパイナップル、チョーキーなテクスチャー、キリっとした酸、柔らかいムース。活力があり、塩気を帯びたフィニッシュ。マロは自然に起きているがフレッシュ感を保っている。デゴルジュマンは2025年6月。ドザージュは3g/L。1633本。95点。
「ミニエール F&R レ・ヴォワミサ 2019」(Miniere F&R les Voirmissa 2019)は1973年に植えた0.45haのリューディのピノ・ノワールとムニエを各50%ブレンドしたブラン・ド・ノワール。洋ナシ、ネクタリン、アプリコット、リッチでクリーミーなテクスチャー、きめ細かい泡。しっかりした構造があり、バランスがとれている。デゴルジュマンは2025年6月。ドザージュは3g/L。1639本。93点。
「ミニエール F&R フラン・ド・ピエ 2018」 (Miniere F&R Franc de Pieds 2018)はLes Moineauxのシャルドネ25%とLes Rosieres、Les Fauvagnesnoのムニエ75%。ふくよかな舌ざわり、生き生きしている。黄色のりんご、ピンク・グレープフルーツ、ジンジャー、熟した果実味、リッチで厚みがある。緊張感をはらむ余韻。600Lと400Lの樽で醸造したノンドゼ。デゴルジュマンは2025年4月。1920本。94点。
「ミニエール F&R サンビオーズ 2016」(Miniere F & R Symbiose 2016)はLes Moineauxのシャルドネ45%とLes Voirmissaのピノ・ノワール55%。洋ナシ、クランベリー、ヘーゼルナッツ、ペイストリー、シャキッとした酸とリッチな果実味が調和して、焦点があっている。純粋でち密なフィニッシュ。ノンマロ。ドザージュは2g/L。1919本。95点。
「ミニエール F&R レ・ピエス エクストレ No.2」 (Miniere F&R Les Piece Extrait No.2)はLes Fosellesのピノ・ノワールとムニエのリザーヴワインを小樽熟成したブラン・ド・ノワール。ティラージュは2017年で7年間熟成した。ライム、マンダリン、オレンジの皮、バラの花弁、彫りが深く、グリップのあるフルボディ。しなやかなテクスチャー、深みがあり、生き生きした酸が引き締めている。うまみと塩気を帯びた余韻が長い。将来はマグナムで詰める可能性もある。ドザージュは2g/L。534本。96点。
最後にコトー・シャンプノワ。昨年、試飲した2019年の赤はまだピントが合っていなかったが、熟成を経てまとまりが出て焦点があってきた。
「ミニエール F&R コトー・シャンプノワ・ルージュ 2019」(Miniere F&R Coteaux Champenois Rouge 2019)は粘土土壌から。スミレ、ラズベリー、バラ、フローラルで、生き生きしている。ジューシーな果実味。程よい凝縮度があり、ピリッとした酸味と調和している。洗練されていて、たっぷりしたうまみが広がる。90点。
「ミニエール F&R コトー・シャンプノワ・ブラン 2022」(Miniere F&R Coteaux Champenois Blanc 2022)はフレッシュでニュアンスに富んでいる。レモン、柑橘、オレンジの皮、24か月の熟成を経て、程よいフェノールのほろ苦み、ミネラル感をまとい、スパイシーな余韻は長い。秋に出荷される。89点。
コトー・シャンプノワの生産量は3樽。ブルゴーニュの価格と比較すると、シャンパーニュを造った方がいいが、いいブドウが熟しているので造る意味はあるという。今後のニュースとしては熟成させているキュヴェをマグナムでリリースする計画がある。
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