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 ユンヌ・シャンパーニュに再び圧倒、進化止めない"隠れた宝石"ベレッシュ・エ・フィス(シャンパーニュ2026)

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 1年ぶりにリュードのベレッシュ・エ・フィスを訪問した。2年前と同じくまたも日程がティラージュ(瓶詰め)と重なった。糖分と酵母を混ぜたリキュールをワインに添加する作業。スティルワインがシャンパーニュに変わる瓶内二次発酵(プリーズ・ド・ムース)がここから始まる。当主のラファエル・ベレッシュをはじめスタッフが総動員されてあわただしく働いていた。


 リキュール添加は機械が精密に行うが、終わると大量のボトルをカーヴに下ろし、横木の上に水平に寝かせて積み重ねる。シュール・ラットと呼ばれるこの作業は正確さと速さを求められる。シャンパーニュが産声を上げる瞬間。ミスは許されない。緊張感が張り詰めている。


 ノンヴィンテージ「ブリュット・レゼルヴ」は王冠で栓をするが、プルミエクリュやグランクリュはコルクで栓をする。カーヴで効率的に作業ができるように刷新している最中だったから、普段よりさらに忙しかった。


 合間をぬって、10人の訪問を受け入れてくれたベレッシュには感謝しかない。


樽とコルクでワインに呼吸させる


 ベレッシュは果汁に呼吸させることを重視している。果汁を澱とともに樽で熟成させて、ブショネのないNDテックのコルク栓で瓶に詰めて熟成する。生きている果汁をカーヴの環境になれさせ、コルクを通じて酸素に接触させる。その作業を通じて、テロワールがより明確に表現できると考えている。


 コルク熟成はルイナールのような大手メゾンも取り入れ始めた。ベレッシュは初めて訪問した10数年前から取り組んできた。隠れた宝石と呼ばれるのも当然だ。


 ベレッシュの思想を表すキュヴェを試飲した。


 「ベレッシュ・エ・フィス ブリュット・レゼルヴ」(Bereche et Fils Brut Reserve)はベレッシュの土台となるNV。2023ベース。チョーク、砂、粘土土壌のシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエをブレンド。りんご、アプリコット、オレンジの皮、柔らかくて芳醇で密度と深みがある。クリーミーなムース、生き生きして、調和のとれたフィニッシュ。ドザージュは5.5g/L。素晴らしい。91点。


 「ベレッシュ・エ・フィス ルフレ・ダンタン マグナム」(Bereche et Fils Reflet d’Antan Magnum)は1990年から始めた600L樽のパーペチュアル・リザーヴの3分の2で造られる。マグナムのみ詰める。ライム、ピンク・グレープフルーツのコンフィ、ペイストリー、ほのかに酸化的、オーキーなタッチが豊かな構造に溶け込んでいる。チョーキーなニュアンスを帯びたフィニッシュは塩味が強い。93点。


 「ベレッシュ・エ・フィス グランクリュ クラマン&アヴィーズ ミレジム 2020」(Bereche et Fils Cramant & Avize Millesime 2020)はコート・デ・ブラン北部の軽快なクラマンと構造のしっかりしたアヴィーズの個性を掛け合わせた。バランスがとれている。ピリッとした酸、すがすがしく、繊細さのコアに骨格が居座っている。この珍しいブレンドに再びトライするかもしれないという。93点。


 「ベレッシュ・エ・フィス アンボネイ グランクリュ ミレジメ 2020」(Bereche et Fils Ambonnay Grand Cru Millesime 2020)はクランベリー、チェリー、ミント、なめらかでリッチ、シャキッとした酸味。しっかりした構造、ほろ苦みの残る余韻。成熟の早いLes Feucheresの区画から。収穫期は数時間おきに食べて熟度を確認するという。93点。


 「ベレッシュ・エ・フィス グランクリュ マイィ-シャンパーニュ ミレジメ 2020」(Bereche et Fils Grand Cru Mailly-Champagne 2020)はアンボネイと対照的にゆっくりと熟す北向き斜面。鉄分を含む赤い粘土土壌。ロゼかと思うほどピンクの強い色調、サワーチェリー洋ナシ、ミント、オレンジの花、キリっとした酸、繊細で香り高い。明るい果実味、明確な輪郭があり、精度が高い。純粋でチョーキーな余韻が続く。ドザージュは3g/L。95点。


 「ベレッシュ・エ・フィス ル・クラン リュード プルミエクリュ 2018」(Bereche et Fils Le Cran Ludes 1er Cru 2018)はシャルドネとピノ・ノワールが各50%。クランベリー、黄色の花、アプリコット、オレンジの皮、鮮やかな酸、エキゾチックなスパイス。熟度が高く、深みがあり、バランスが優れている。祖父が植えた樹齢50年を超す畑。1+1が3になり、リュードの複雑さと優雅さが表現されている。ドザージュは3.85g/L。95点。


DPのリシヤール・ジョフロワに触発


 ここで終わるはずだったが、昨年試飲したユンヌ  シャンパーニュ2015が素晴らしかったので、ラファエルに「アンコール」をお願いした。日本からの到着日にもかかわらず集中して試飲するツアー参加者の様子に感心したのか、セラーまでボトルをとりに行ってくれた。ありがたい。750本しか造られなかった希少品だ。


 「ベレッシュ・エ・フィス ユンヌ シャンパーニュ ミレジメ 2016」(Bereche et Fils Une Champagne Miellesime 2016)は7つの村からピノ・ノワール、シャルドを各50%で仕込んだ。ドン・ペリニヨンのリシャール・ジョフロワと親しいラファエルが、グランクリュをすべてブレンドしようという着想で2014年に実験的に始めた。レモンオイル、洋ナシ、オレンジの皮、ドライハーブ、ペイストリー、輝くようなアロマの桃源郷が広がる。キレがあり肉厚。包み込むようなスケールの大きさがある。ニュアンスに富んでいて表現力が豊か。若々しくて小宇宙からあふれ出るエネルギーにほんろうされるが、数年おくことで焦点があってくるだろう。96点。


 ランスからわずか20分のリュードにあるベレッシュは創業1874年。2012年に引退したジャン・ピエール・ベレッシュの後を、7代目のラファエルとヴァンサン兄弟が引き継いで、次々と新しいキュヴェを世に出している。動きを見逃してはいけない。

コルク栓で熟成中のボトルを手にしたラファエル・ベレッシュ
ティラージュは機械で精密に行う
瓶を横木の上に水平に寝かせて積み重ねる
ユンヌ シャンパーニュ2016
リュードのチョーク

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