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シャトー・ムートン・ロートシルトには「5」のつくヴィンテージに外れはないというジンクスがある。2025年もジンクスは外れず、ニュー・クラシックなワインで成功を収めた。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド(BPhR)の統括技術責任者ジャン・エマニュエル・ダンジョワ(Jean-Emmanuel Danjoy)は、オーパスワンのマイケル・シラーチの下で10年間の経験を積んだ後、クレール・ミロンの支配人としてシャトーの刷新を成功させ、3つの格付けワイナリーを監督している。
オーパスワンでは栽培担当を任されて、ナパヴァレーの気候の対処を身に着けた。被覆作物の栽培や樹冠管理などの手法が、2025年の極端に乾燥して暑かった天候への対応に役立った。
5つのキュヴェのアルコール度はほとんど13%台前半に収まっている。要因の1つはタイミングのいい雨と気候。4月の雨量は過去30年間平均を80%上回った。8月最後の数日間には雨が降り涼しかった。ナパでもワインを造るクリスチャン・ムエックスから「収穫前に水をまけばフレッシュ感を保てる」と聞いた。その通りの状況だった。
ブドウは完熟し、結果的にクラシックなバランスが保たれた。収穫は9月初めに始まり、20日という早い時期に終えた。ブドウは小粒の実をつけ収量は減少した。
エレガンスと凝縮度の調和
最初のシャトー・ダルマイヤックを試飲した瞬間に電気が走った。凝縮していながら生き生きしている。重さや暑さがない。1990年代のボルドーのエレガンスと、気候変動が始まってからの熟度と芯の強さとの調和がとれている。これぞニュー・クラシックである。
「シャトー・ダルマイヤック 2025」(Chateau d'Armailhac 2025)はブラックチェリー、ブルーベリー、ミント、砕いた石、鮮やかで明るい果実味、ち密なタンニン、オークは完ぺきに溶け込んで調和している。すがすがしい酸、しっかりした骨格があり、黒煙、なめし革、フレッシュな余韻は長い。カベルネ・ソーヴィニヨン67%、メルロー21%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド2%。新樽50%で18か月間の熟成。アルコール度は13%。94点。
「シャトー・クレール・ミロン 2025」(Chateau Clerc Milon 2025)はダークチェリー、ブラッドオレンジ、ドライハーブ、はつらつとした果実味、さわやかな酸としなやかなタンニンが調和している。凝縮感とフレッシュ感のバランスが見事で、余韻に黒煙や鉛筆の削りかす。カベルネ・ソーヴィニヨン62%、メルロー28%、カベルネ・フラン8%、カルメネール1%、プティ・ヴェルド1%。1947年に植えられた樹も含むカルメネールはボルドーで最古のカルメネール。2017年に増殖した。pHは3.78。アルコール度は13.1%。94点。
「ル・プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト 2025」(Le Petit Mouton de Mouton Rothschild 2025)は見事の一言。シルキーで柔らかい口当たり、ダークチェリー、ザクロ、バラの花弁、ジューシーな果実味、デリケートなタンニン、シームレスなテクスチャー、生き生きしている。骨太で構造はしっかりしている。カベルネ・ソーヴィニヨン58%、メルロー36%、カベルネ・フラン3%、プティ・ヴェルド3%。アルコール度は13%。95点。
「シャトー・ムートン・ロートシルト 2025」(Chateau Mouton Rothschild 2025)はカベルネ・ソーヴィニヨン比率が98%と高くムートンの本領を発揮している。新樽100%。黒系果実、リコリス、鉛筆の削りかす、濃厚で凝縮している果実味、洗練されたタンニン、しっかりした骨格。肉厚で重層的、重厚すぎることはなく、調和がとれている。エネルギーをたっぷりと秘めている。暑くて乾燥した年にエレガンスを表現するムートンの熟成が楽しみ。アルコール度は13/1%。97点。
「エール・ダルジャン 2025」(Aile d’Argent 2025)は香り高さにノックアウトされる。ライム、タンジェリン、カモミール、目が覚めるようなすがすがしい酸味とエキゾチックな果実味が詰まっている。繊細さがありぐいぐいと飲みたくなる。ほのかな苦味とジンジャーの香りがアクセントになっている。過去10年で最高のエール・ダルジャン。通常より6週間長いバトナージュをしたが酸味が豊かでリッチすぎない。ソーヴィニヨン・ブラン63%、セミヨン29%、ソーヴィニヨン・グリ7%、ミュスカデル1%。pHは3.13。ノンマロ。アルコール度は13.6%。95点。
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