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ワイン観光に取り組む世界最高のワイナリーを選ぶ「ワールズ・ベスト・ヴィンヤード 2025」の授賞式が19日、オーストラリア・西オーストラリア州で行われ、山梨・塩山の98WINEsが日本ワインで過去最高の20位に入賞した。長野・上田のシャトー・メルシャン 椀子ワイナリーは46位だった。1位はチリ・ミラウエにあるVikだった。
世界のワイナリーから大きな歓声
土地がワインを造らせる98WINEs
表彰式はトップ50を司会者が50位から読み上げる方式で行われた。椀子ワイナリーは2024年が59位。46位は順当な結果だった。98WINEsは2024年が48位。30位番台に入れば健闘と思っていたが、いつまでも出てこない。
<どうしたことか?塩山の小さなワイナリーがトップに食い込めるのか……>
ジリジリしながら待っていると、「富士山に近い」という声が聞こえてきてようやく読み上げられた。20位。快挙である。受賞者席から湧き上がった歓声は、1位に負けないくらい大きかった。世界のワイナリーの受賞者の驚きも我々と同じだったのだろう。ベスト・ヴィンヤード・イン・アジアも同時に受賞した。
オーナーで醸造家の平山繁之さんも「これ以上、上に行くとまずいと思っていた」と、受賞後に明かした。
富士山のパノラマビューを満喫でき、クラフトビールを提供するブルワリーがあり、地元ワインとともに日本料理を堪能できる森林ホテルも併設されている点が評価された。レス・イズ・モアのトレンドを表している。
2018年に設立された98WINEsは50軒のベスト・ヴィンヤードの中で最小の部類に入る。予兆はあった。表彰式の前に平山さんと歩いていると、ヨーロッパの審査員からやたらと声をかけられた。昨年50位以内に入ったことで世界に名前が広まったようだ。海外からの訪問者が増えている実感はないというが、評価されているのだ。
「ヨーロッパやアジアのインポーターからやたらと連絡がくるようになりました。台湾、香港、オーストラリなど4か国の輸出に取り掛かっています。総生産量4万5000本のほぼ1割を回しています。日本も足りないのでこれが精一杯です」
国際品種で勝負するワイナリーが揃う中で、生産品種は固有品種の甲州とマスカット・ベーリーAだけ。「ワインは場所の文化」という思いが通じたようだ。ワインメーカーが造るのではなく、土地がワインを造らせているのだという。
「山梨で暮らし、ワインを造るなら地場の品種しか考えられなかった。我々はプレゼンが得意なわけではないし、派手な演出もできない。ワインツーリズムを通じて、甲州という固有品種を世界に広める手助けになればうれしい」
シャトー・メルシャン 椀子ワイナリーの岡村敦ワイナリー長は「ちょっとがっかりした。30位より上を狙っていた。輸出に力を入れるなど、世界に椀子ワイナリーを広める努力を続けていきたい」と語った。
授賞式の後は、大勢の見知らぬ人々から「おめでとう」と握手された。日本ワインが認められたのを祝福してくれたのだ。その中にはヒル・オブ・グレースで知られるイーデン・ヴァレーのヘンチキの当主ステファン・ヘンチキ夫妻もいた。
ワインに国境はない
日本のワインや食に広がる世界の関心
醸造家のマスター・オブ・ワインが選ぶ2025年のワインメーカーズ・ワインメーカー賞を3月に受賞した伝説的なワインメーカーである。「娘が日本語を勉強してるんだ」から始まり、日本の文化やワインの話が続いた。日本のワインや食が着実に世界に広がっていることを他国の審査員の話からも実感した。
大音響が鳴り響くダンスミュージックの中で腰を動かしながら夫人にダンスを誘ったが、止められて少し残念そうだった。
ワインに国境はない
思いを新たにした1夜だった。
ワールズ・ベスト・ヴィンヤードは世界を20の地域に分けて、世界の700人以上の旅行・ワインツーリズムの専門家の投票で決められる。今回は6大陸15の地域から選ばれ、11の新規エントリーが登場した。
1位のVikは昨年の2位からランクアップしてトップに躍り出た。アンデス山脈を遠くに望むワイナリー兼高級ホテル。自然保護区に広がり、環境への取り組みで知られる。
チリとアルゼンチン・メンドーサなど南米が相変わらず強い。ヴィーニャ・コボスが49位で初登場した。NZマールボロのクラウディ・ベイは意外なことに26位で初エントリーした。英国のナイティンバーが32位で初登場し、リエントリーのガスボーンは28位だった。
ベスト50は画像の通り。
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