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ドッグポイントはブルゴーニュ品種も狙い目

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 ニュージーランドはソーヴィニヨン・ブラン王国だ。白ワイン生産量の7割以上を占める。中心地は南島の北端にあるマールボロ。国全体のソーヴィニヨン・ブランの7割以上がここで栽培されている。
 先駆者は1985年に設立されたクラウディー・ベイ。優れた人材を生んでいる。ドッグポイントを創設したアイヴァン・サザーランドとジェームス・ヒーリーはそれぞれ、ブドウ栽培とワイン醸造を担当していた。アイヴァンは今もブドウをクラウディー・ベイに供給する。ドッグポイントと並ぶ生産者グレイワッキのオーナー、ケヴィン・ジュッドは、クラウディー・ベイのチーフ・ワインメーカーを務めた伝説の存在だが、今の畑はアイヴァンが管理している。マールボロのトップ生産者のブドウを、アイヴァンが手掛けているということになる。
 ここのソーヴィニヨン・ブランがいいのは当たり前だが、来日したワインメーカーのマレー・クックとの試飲で、ブルゴーニュ品種も優れていることを発見した。エリザベス女王はコロンビア大統領の公式晩さん会で、シャルドネ2011を供した。赤ワインはピション・バロン1990。王室のセラーには、ブルゴーニュの白も大量にあるはずだから、ドッグポイントのシャルドネはそれに負けない品質と格があるということである。
 「シャルドネ 2012」は還元気味だったが、白い花、青マンゴー、白桃、タイトな冷涼感があり、洗練されたスタイル。温度が上がるとハチミツ、トースティなタッチが浮かび上がるが、きれいに統合されている。15%の新樽を含むフレンチオークで18か月間熟成。これが5500円なら、ブルゴーニュに手を出さなくていい。バッキンガム宮殿の酒庫長もそう考えたのだろう。92点。
 「シャルドネ 2011」は明るい酸があって、口中をリフレッシュしてくれる。硬質なミネラル感のあるシャブリ的なスタイルで、ライム、カシューナッツにスモーキーなニュアンスが混じる。焦点の合った長いフィニッシュ。さらなる熟成の可能性がある。93点。
 「結実不良の多いメンドーサとディジョン95を賭け合わせたクローンから生まれる。新樽比率を25%から15%に下げて、よりエレガントになった」とマレー。
 ピノ・ノワールは自然酵母により開放式タンクで発酵後、フレンチオークで18か月間、熟成させる。抽出しすぎないように気を付け、2011年から一部に全房発酵を取り入れている。ヘクタール当たり収量は30から35ヘクトリットルと少ない。
 「ピノ・ノワール 2012」はザクロ、レッドチェリー、タバコ、骨格がしっかりとあり、心地よい酸に支えられ、深みがある。湿った土の香りを伴うフィニッシュは洗練されていて長い。92点。
 「ピノ・ノワール 2010」は冷涼だったヴィンテージ。スミレ、プラム、腐葉土の香りが広がり、丸みがある。フレッシュな酸があり、スムーズなテクスチャー。うまみが口中に長くとどまる。91点。
 ここのソーヴィニヨン・ブランは鉄板。マールボロで最も安定した生産者の一つだ。「ソーヴィニヨン・ブラン 2015」は抑制されたエレガントなスタイル。ステレンスタンクで醸造される。ガスを少し残していてフレッシュ、フリンティで、パッションフルーツ、レモンの皮、ほのかにみずみずしい青草。ツヤツヤしたテクスチャーと果実の集中力があり、うまみを伴う長いフィニッシュ。90点
 上級キュヴェの「セクション94」は特定の区画から仕込む。テアラ・ヴァレー北部で水はけのよい粘土石灰質土壌。古いフレンチオークで18か月間の熟成。ノンマロ。発酵時に全体の80%は培養酵母を用い、きれいにパッションフルーツの香りをコントロールしている。自然酵母の比率を高めるべくトライしている。
「ソーヴィニヨン・ブラン セクション94 2014」は極めてフレッシュ、果実は凝縮していて、オークと統合されている。レモンカード、パッションフルーツ、マッチを擦った香り、背骨の強い酸に支えられている。ミネラルの強いフィニッシュ。93点。
 「ソーヴィニヨン・ブラン セクション94 2012」はグラッシーで、ドライハーブ、ライムの皮、まろやかな果実と張りのある酸の両方を備え、フィニッシュはナッティで、トロピカルな果実のタッチ。ディディエ・ダギュノーのように熟成に耐えられるソーヴィニヨン・ブランだ。92点。
 輸入元はジェロボーム。

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