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トランプの関税、世界のワイン・スピリッツ産業に打撃

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 トランプ大統領の「解放記念日」関税が世界の飲料業界に衝撃を与えている。EU産のワインや蒸留酒に20%、スコッチ・ウイスキーを含む英国産の輸出品に10%の関税が課される。


 EUのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「世界経済への大きな打撃」と評した。米国はEUワインの最大の輸出市場で、2024年のEUの総輸出額の28%が米国向け。48億8000万ユーロが出荷された。委員長は「大小を問わずすべての企業は大きな不確実性からサプライチェーンの混乱、わずらわしい官僚主義まで苦しむことになる。米国とのビジネスコストは大幅に増加するだろう」とコメントした。


 とりわけ、フランスにとって打撃は深刻だ。ボルドー、シャンパーニュ、ブルゴーニュに長い影を落とす。米国はフランスの最大の輸出市場(25%)であり、2024年に24億ユーロのワイン、15億ユーロの蒸留酒を輸出した。フランス・ワイン・スピリッツ輸出業者連盟(FEVS)は、輸出が8億ユーロ減少すると見ている。


 AOCコニャックのワイン生産者連合会長のアンソニー・ブルンは「オー・ド・ヴィー(コニャックとアルマニャック)にとって、想像を絶する大惨事だ」とコメントした。


 英国は2020年のブレグジットでEUから脱退したため20%の関税が免除されているが、10%の関税は大きな打撃となる。金額ベースで米国を最大の市場としているスコッチウイスキーにとっては大きな痛手となる。


 アジアも厳しい状況に置かれる。中国は以前の関税を含む54%の関税が適用される。日本は24%、韓国は25%、台湾は32%、カンボジアは49%、タイは36%など打撃を受ける。中国は54%の関税に対して「断固たる対抗措置」を主張し、中国外務省は「貿易戦争に勝者はなく、保護主義に逃げ道はない」と付け加えた。


 一方、世界最大のワイン消費市場である米国の輸入業者、卸売業者、小売業者も悪影響を受ける。ワインの価格上昇に対応して、コスト削減や人員整理を迫られ、消費者の意欲減退で収益が悪化するリスクに見舞われる。


 また、カリフォルニアのワイン生産者も既に悪影響を受けている。米国が発表した25%の関税への対応として、カナダ10州のうち9州の政府は、酒類委員会に対して米国産アルコール飲料を店頭から撤去し、卸売を禁止するよう指示した。


 カリフォルニアワイン協会のロバート・P・コッホは、新たな関税の発表について「米国のワイナリーのカナダへの再参入を困難にする。カナダはこれまでで最も重要な輸出市場だ」と述べた。

 

カナダのリカーショップから外される米国産ワインやウイスキー Facebook@The Other 98%

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