世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. 明瞭な情報提供の義務、透明化を求められるオークション

明瞭な情報提供の義務、透明化を求められるオークション

  • FREE

 高級ワインの二次市場が発展するためには、レストラン経営者、ソムリエ、ワインショップ、インポーター、オークションハウスなど、携わる関係者全員の健全化に向けた取り組みが求められる。とりわけ、中心的な存在であるオークションハウスの責任は大きい。


 ワインの鑑定能力はもちろんだが、きちんとしたプロヴェナンスのワインをオークションの参加者に正確に広める責任感を持っていなければ、二次市場がワインの魅力を広める場にはなりえない。インポーターやワインショップ以上に強い義務感を持って取り組むべき必要がある。


 オークションハウス最大手のTop Lotの鑑定家である堀賢一さんは「オークション会社は法的には出品者と落札者の間に立って取引を仲介する立場(仲立営業)ではなく、出品者に成り代わって、出品された商品を少しでも高く売るために努力する立場(問屋営業)にある」と語る。


 ワインオークションはますます透明性を求められている。対人でのオークションが主体だったが、インターネットでのオークションが広がって、世界のどこからでもリアルタイムで入札できるライヴ・ビッドが主流になっている。そのため、デジタル・カタログの重要性も高まっている。


 そのきっかけは、アッカー・メラル・コンディットが2008年4月にニューヨークで開いたオークションにある。ここでは、ドメーヌ・ポンソの1945-1971年のクロ・サン・ドニが出品された。ドメーヌ元詰めのラベル表示があるクロ・ド・ラ・ロッシュ1929年も出品された。クロ・サン・ドニをローラン・ポンソの父が生産し始めたのは1982年からで、祖父がクロ・ド・ラ・ロッシュの元詰めを始めたのは1934年からだった。


 ローラン・ポンソはニューヨークのワイン収集家からワインの画像を受け取り、偽造に気づいた。ポンソはオークション会社にワインを取り下げるように要請してニューヨークに飛んだ。出品者のルディ・クルニアワンはこのオークションをきっかけにFBIに逮捕されて有罪判決を受けた。7年の刑期を終えて、2021年4月に米国からインドネシアに強制送還された。


 Top Lotではオークション会場の入札は減る一方で、ネットやスマホでの入札が主体になっている。そのため、出品ワインの状態やラベルを様々な角度からチェックできるアプリを開発した。出品者のプライバシーに配慮しながら、可能な限りプロヴェナンスを公開している。


画像の解像度が低いシンワオークションのカタログ


 ところが、ワインオークションで2位のシンワオークションのカタログは、すべてのワインの画像を掲載していない。掲載されているものも解像度が低い。真贋鑑定どころか、状態も明確に判別できない。「写真はイメージです。コンディションについてはお問い合わせ下さい」と記載がある。


 オークションの参加希望者にとっては、透明性を欠く不親切な案内ではないかと問い合わせた。


 これに対して、取締役副会長の馬場元さんから、「買受希望者の参考に供するためカタログを頒布しているが、記載内容はあくまでも買い受け希望者の参考に供するため」という返答がメールで寄せられた。


 「正確性、商品の瑕疵、欠陥についての記載の誤りについて責任を負わない旨、ワインオークション規約に定めている。カタログの図版は、イメージであり、商品の色調、形状などを正確にあらわすものではなく、状態、品質を示すものでもないこと、カタログの図版が実物を正確にあらわさないことも、規約に明記している」とコメントした。


 また、「弊社のオークションは、ワインに関する真贋や品質等を保証しないことは規約に定めている」と述べている。


 これに対して再度、「オークション会社がワインに関する真贋や品質などを保証しないのであれば、参加者はわざわざ手数料を払ってオークションに参加する意味がないのではないか」と問い合わせた。


 その質問に対しては、「贋物を取り扱わないように細心の注意を払って出品しています。多くのお客様にご理解いただき、弊社のオークションにご参加いただいていると思っています」と回答が返ってきた。


 オークションの参加者は、オークション会社が厳格な真贋鑑定をして出品しているから安心して入札できるという意識を持っている。買い手責任をうたうのであれば、可能な限り商品についての情報を提供するのが重要だ。れこそがオークション会社の存在意義だと思われる。

画像の解像度が低いシンワオークションのカタログ(2024年5月)
ラベルの細部やキャップシールが不明瞭なシンワオークションのカタログ(2024年5月)
様々な角度から見られるTop Lotのアプリ

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP