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ナパで飲むカベルネは肌に合う、ケイマスのスペシャル・セレクション1998

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 ワインは現地で飲む方がおいしい。
 ワインが動いていないという保存状態もあるが、それ以上に、湿度や温度がそのワインと飲み手に最適な条件を提供してくれるからだ。
 涼しくて乾いているブルゴーニュでは、アルコール度が低くて、酸のしっかりしたワインが自然に体に入っていく。太陽に恵まれているイタリアのトスカーナでは、キリリとしたシャンパーニュよりも、熟したブドウのふくよかさを感じるフランチャコルタの方がしっくりくる。
 飲む側も生き物である以上、その場の環境に左右される。カリフォルニアに1週間もいると、体がカリフォルニアワインに適応してくる。アルコール度やブドウの凝縮度が、多少高くても、体が太陽をたっぷりと浴びているから、普通のことに思えてくる。高温多湿の日本ほど、ヘビーな印象を受けない。気候条件を媒介に、飲み手とワインがいいマリアージュをするのだ。


 ナパヴァレーで働く友人宅で、ケイマスのスペシャル・セレクション1998を飲んだ。ナパのカベルネ・ソーヴィニヨンを代表するガッツのあるスタイルだ。カルトワインほどやりすぎていない感じが好ましい。
 日本で飲むと、力強さに圧倒されるのだが、こちらではそんなことはなかった。よく抽出された果実のふくよかさとタンニンのなめらかさ。四半世紀近くたって、落ち着きが出てきて、高めのアルコール度も気にならない。バランスよくまとまっている。
 造り手のチャック・ワグナーは、5年から10年以内の果実味がたっぷりな時期に飲むのが好きだと話していたが、熟成させても十分においしい。改めてわかった。ワイナリーから30分もかからない場所で飲んでいるのだから、状態も完璧だ。
 友人宅には古いカベルネがいくつかあったのだが、あえて1998を選んだのは、困難なヴィンテージと言われているから。ロバート・パーカーが低い評価をしたため、市場価格も低い。ところが、今飲むときれいに熟成している。2011もそうだが、カリフォルニアは難しいヴィンテージが狙い目だ。


 切りたてのイベリコの生ハムと畑からもいできたばかりのマルベックをつまみにするマリアージュも最高だった。



(2014年9月7日 カリフォルニア・ナパヴァレーで)
ケイマス カベルネ・ソーヴィニヨン スペシャル・セレクション 1998
月に一度は飲みたい度:90点 

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