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ワイン界の大御所、山本博さんが92歳で死去

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 多数のワインの著書・翻訳書を手掛けたワイン界の大御所で弁護士の山本博さんが17日、亡くなった。92歳だった。葬儀は家族葬で行った。


 山本さんは1931年2月、横浜市生まれ。弁護士業のかたわら、ワイン研究にいそしみ、1960年代からフランスのワイン産地、英国のウイスキー醸造所、日本国内の酒蔵などを回り始めた。


 『ワインの女王 ボルドーワインのすべて』(1990年)、『シャンパン物語』(1982年)などの著書、アレクシス・リシーヌの翻訳書『新フランスワイン』(1985年)など、産地の事情を伝える教科書的な著書・訳書を精力的に発刊した。共著、監修を含む著作だけでも50冊近い。


 洋書が容易に手に入らず、現地事情がわからなかった時代に、基礎をなす情報をまとめた書物はほとんどなかった。ソムリエ、インポーター、ワインショップから愛好家まで、多くの読者が手に取り、日本のワイン業界の発展に寄与した。


 フランスワイン&スピリッツ全国ソムリエ最高技術賞コンクール審査員などを務める一方で、日本でのシャブリやシャンパーニュの不正表示を阻止する弁護士活動も行った。フランス農事功労章、ブルゴーニュの利き酒騎士など、フランス政府や生産者団体から数多くの勲章を叙勲した。


 1980年代から日本ワイン輸入協会、日本ワインを愛する会の会長なども務めて、日本ワインの普及にも貢献した。


 ワイン会を積極的に開いて、若い愛好家や業界の関係者と一緒に飲むことを好んだ。70代から80代になっても元気で、ワインやスピリッツを楽しみ、煙草も止めなかった。東京・銀座で2軒目、3軒目までバーを回るのがもっぱらで、たいていは若い飲み手の方が先にダウンしてしまった。偉ぶらない人柄で万人に愛されたワイン界の巨匠だった。

2022年4月に開かれた「山本 博先生に感謝する夕べ」で (c)Alex Lee

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