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刑期を終えて釈放された悪名高きワイン偽造家のルディ・クルニアワンが、ワイン業界に復帰している。ワインを偽造に手を染めるのではと、専門家の間で警戒する声が高まっている。
クルニアワンは米国で初めてワイン偽造で裁かれた。2013年12月、FBIが約3000万ドルで販売したと見積もるワインの偽造と、700万ドルの融資に対する銀行詐欺の罪で有罪判決を受けた。2014年にマンハッタン連邦地裁から懲役10年の判決を受けた。
7年間服役して2020年に釈放され、2021年4月に母国インドネシアに強制送還された。彼の盛衰を描いたドキュメンタリー映画『Sour Grapes』が2016年に公開されている。
ワイン鑑定家モーリン・ダウニーは、ウェブサイト「winefraud.com」で、今年7月、シンガポールの高級レストランで、クルニアワンが偽造の仕事を託された1990年のロマネ・コンティとペトリュスが供されて、7人のゲストがオリジナルと比較して偽物を好んだことを暴露した。
クルニアワンは別のイベントでも、ジャック・フレデリック・ミュニエのミュジニー、シャトー・シュヴァル・ブラン1982をオリジナルと比較させ、15人のゲストは偽物を好んだという。
ダウニーによると、クルニアワンの偽物が好まれるのはワインが若いからだという。クルニアワンは億万長者のコレクターとコネクションを作り、コレクターから最高級のワインを引き出す。クルニアワンは依頼を受けて、偽物を造ってディナーで供して、ゲストは両者を並べて試飲する。
その行為自体は違法ではないが、ワイン会で供された本物のボトルの空き瓶がどうなっているのかは不明だ。クルニアワンはロサンゼルスのオークションや試飲会で全盛を誇っていた時期から、本物の空き瓶を集めて、ワインを偽造していた。そうしたワインが市場に流通する可能性がないとは言えない。
シンガポールはアジアの高級ワインの中心地の地位を取り戻している。クルニアワンは5億5000万ドル相当の偽ワインを作り、約1万本のボトルが今も流通していると推測されている。
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