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ビオディナミのパイオニア、ジャン・ピエール・フルーリーが死去

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 シャンパーニュのビオディナミの先駆者でメゾン・フルーリー・ペール・エ・フィスの前当主ジャン・ピエール・フルーリーが21日、亡くなった。76歳だった。


 フルーリーは1895年創業。ジャン・ピエールはコート・デ・バールのクルトゥロン生まれ。天文学者を夢見ていたが1970年にメゾンを継いだ。


 1970年代に化学薬品を使用する慣習に反対し、除草剤や有機肥料の使用を止めた。1989年にビオディナミの試験を部分的に始め、1992年に全面採用した。ほかの生産者がオーガニックやビオディナミに乗り出すきっかけとなった。


 1998年にオーガニック シャンパーニュ協会(l'Association des Champagnes Biologiques=ACB)の初代会長に就任した。ごく少なかった生産者たちと連絡をとりあって、技術、商業的な手段を共有し、オーガニック栽培の普及に貢献した。


 2000年からビオロジックやビオディナミにトライし始めたルイ・ロデレールのジャン・バティスト・レカイヨンは「1990年代後半、オーガニックやビオディナミを口にすると、馬鹿にされ笑われた。『その方向を進め』と応援してくれたのは、ジャン・ピエール・フルーリーとアンセルム・セロスだけだった」と、2019年のインタビューで振り返っていた。


 また、瓶内二次発酵に適している培養酵母「クォーツ」(Vitilevure Quartz)を、畑から選別して開発した。クォーツは17%のアルコール度、10度までの低温、低いpHなど困難な条件でも働く点が画期的だった。発酵が停止した時の再開にも使える。各地の瓶内二次発酵の生産者に使われている。


 現在はブノワとジャン・セバスチャンの兄弟、姉妹のモルガーヌが継承している。馬による耕作、亜硫酸無添加のワイン、マッサール・セレクション、アグロフォレストリーなどの先進的な取り組みをしている。

 

(C)Association des Champagnes Biologiques
画期的な酵母「クォーツ」

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