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アルザスのトリンバック、自社畑を拡大しグランクリュに焦点

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 フランス・アルザスを代表するメゾン、F.E.トリンバックが、積極的に自社畑を拡張している。グランクリュの畑名を表示するリースリングにも取り組み、テロワール志向のワイン造りに注力している。
 アルザス地方は歴史的に、有名メゾンが主導して産地の名声を高めてきた中で、トリンバックは自社畑にこだわる異例の存在だ。2012年にキンツェンハイム村のグランクリュ、シュロスベルグを購入。2015年末には、メゾンのあるリボヴィレ村とベルグハイム村の計5ヘクタールの畑を購入した。自社畑は55ヘクタールにのぼり、このうちグランクリュは15ヘクタール。アルザス全体のグランクリュ比率は4%だから、きわめて高い。畑の所有面積はアルザスで3番目。ブドウを購入する契約畑は60ヘクタール。年間生産量は10万本と少ないが、40%以上をリースリングが占める。

 プロモーションで来日した12代目当主ジャン・トリンバックは「グランクリュの畑の平均価格はヘクタール当たり30万ユーロまで上がったが、チャンスがあれば逃さない。品質を良くする可能性がある以上は畑を買い続ける。品質とは細部の積み重ねだから、自社畑の方が有利だ」と語る。
 2015年に購入した5ヘクタールの畑はビオディナミで栽培されてきた。そのままビオディナミを続けて、「キュヴェ・フレデリック・エミール」や「レゼルヴ」に使い、品質をさらに上げる。
 一方で、近年はグランクリュのテロワールを表現するリースリングにも力を入れている。ウナヴィール村のグランクリュ、ロザケールのブドウで造る「クロ・サンテューヌ」を引くまでもなく、最初からテロワールにこだわるメゾンだった。今回、リボヴィレ村の2.66ヘクタールの畑から造った「グランクリュ・ガイスベルグ リースリング 2009」(希望小売価格1万円)を発売した。フリンティなミネラル感あふれる長期熟成型のスタイルだ。生産量は3000本。

 「畑を所有するリボヴィレ修道院から『グランクリュ ガイスベルグ』をラベルで表示したいという要望があった。これまで消極的だった『グランクリュ』の表示に踏み切ったのは、それだけでなく、かつては緩かったグランクリュの規定が厳格に守られて、品質が上がってきたから。表示が避けて通れないものになった」と、ジャンは明かす。
 アルザスのグランクリュは1975年に制定されたが、規定が緩く、販売の道具に使う生産者が多かった。トリンバックやヒューゲルは納得できず、ラベル表示を避けてきた。2011年に51のリューディが独立したAOP(AOC)に認められ、規定が厳格になったことで水準が上がってきたという。
 2012年に購入したシュロスベルグはもちろん自社畑。優良な2014年を仕込んで2017年に市場に出す予定。花崗岩の強いテラス状の畑にリースリングを植えている。トリンバックは瓶詰め後に熟成させて発売する珍しいメゾンでもある。
 「マロラクティック発酵をしないから、寝かせる必要がある。トリンバック家の伝統に従っている。ワインが自分自身を示すのには時間がかかる。実は、別のグランクリュを出す可能性もある。まだ話せないが、楽しみにしてほしい」
 アルザスのグランクリュとテロワールを探求する動きは、産地全体に広がっている。2015年11月、19生産者からなる「ACT」(アルザス・クリュ・エ・テロワール)が発足した。世界のプロに向けて、テロワールとクリュの重要性をアピールするという。加盟生産者は以下の通り。
Domaine BARMES-BUECHER、Domaine BOTT-GEYL、Domaine Albert BOXLER、Domaine JOSMEYER、Domaine Andre KIENTZLER、Domaine Marc KREYDENWEISS、Domaine LOEW、Domaine Albert MANN、Domaine MEYER-FONNE、Domaine du CLOS SAINT LANDELIN、Domaine OSTERTAG、Domaine Martin SCHAETZEL、Domaines SCHLUMBERGER、Domaine SCHOFFIT、Domaine TRAPET-ALSACE、Domaine TRIMBACH、Domaine WEINBACH、Domaine ZIND-HUMBRECHT、Domaine Valentin ZUSSLIN

 トリンバックの輸入元は日本リカー(03-5643-9770)。

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