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孤高のリューディ・シャンパーニュ、フィリポナのレ・サントレ2006

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 シャンパーニュの基礎方程式は多彩な区画のブレンドにあるが、近年はグローワーズ(栽培農家)を中心に単一畑を造る動きが盛んだ。1935年に初の単一畑「クロ・デ・ゴワセ」を生産したフィリポナのシャルル・フィリポナ社長が、さらにクロ・デ・ゴワセの畑を細分化した究極のリューディ・シャンパーニュ「レ・サントレ 2006」を引っ提げて来日した。

 クロ・デ・ゴワセは格付け99%のマレイユ・シュール・アイ村のメゾン裏にある5.5ヘクタールの急斜面畑。11のリューディを14の区画に分けて醸造する。「レ・サントレ 2006」は、グラン・サントレとプティット・サントレの中間のリューディから造られる。斜度が45度の最も傾斜のきつい場所だという。当然、表土は薄い。ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%。樽発酵され、リットル当たりのドザージュは4.5グラムのエクストラ・ブリュット。デゴルジュは2015年10月。

 ミルティーユ、リンゴの赤い皮、ブリオッシュ、雨上がりの石灰岩の香り。濃密で、しっかりとした骨格だが、重さはない。粒子が細かく、軽やかな飛翔感を感じる。オークと酸と果実が統合されていて、まろやかなテクスチャー。緊張感のあるフィニッシュは、焦点があっていて途方もなく長い。孤高の存在と呼びたい。クリュッグのクロ・ダンボネに対するマレイユからの解答。両者を比べれば、こちらははるかにコスパが高い。ノンマロ。
 レ・サントレの正確さに比べると、リッチさがより前面に出る「クロ・デ・ゴワセ 2005」はおおらかに思えた。2006と2005というヴィンテージの違いもあるが、余韻に重さをひきずる。ただ、薄い表土からくる強烈なミネラル感とレーザー光線のような切れ味は別格。真南の斜面の熟した果実とミネラル感、それにノンマロから来るフレッシュ感の調和が、クロ・デ・ゴワセの醍醐味だ。
 ブレンド比率はピノ・ノワール65%、シャルドネ35%。シャルドネもフレッシュさの上で大きな意味を持つ。そもそも、1964年までシャルドネ主体だったのを、ピノ・ノワールに植え替えた。シャルルによると、白亜土壌にシャルドネを植えるのが昔の人が好んだやり方だったため、シャルドネ主体だった。シャルドネの栽培面積は2.1ヘクタールだったが、4年前から一部をピノ・ノーワルに植え替えているという。

 レ・サントレの発売で、2015年から発売されてきたトリロジーが完成した。醸造所裏の5つの自社畑をブレンドするピノ・ノワール100%のマレイユ・シュール・アイ、アイ村の単一畑ル・レオン、それにレ・サントレ。レ・サントレの発売が最後になったのは、それだけ力があったからだ。
 「単一品種、単一畑のシャンパーニュはこの3つでおしまい。市場の要請があるから、畑を細分化して、限定生産してきた。ブレンドによる伝統的なシャンパーニュには別の価値があり、矛盾はしていない」と語った。
 レ・サントレ2006は秋ごろ発売。予定価格は6万円前後。2065本生産され、1割前後が輸入される。

2016年5月12日 東京・京橋で

シャンパーニュ フィリポナ レ・サントレ 2006
95点
シャンパーニュ フィリポナ クロ・デ・ゴワセ 2005
93点
輸入元:富士インタストリーズ

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