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オーブの希少なシャンパーニュ、ボエル&クロフの「B」

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 シャンパーニュはブランド・ビジネスの色彩が強いワインだ。極少量を趣味的に仕込む造り手もいる。かつてのサロンは、ウジェーヌ・エメ・サロン氏が仲間内で飲むために造るところから始まった。

 ボエル&クロフもよく似た物語だ。マドリッド在住の弁護士パトリック・サバテとステファン・セスが、シャンパーニュへの愛情やみがたく、自らのキュヴェを生み出した。手を貸したのがコート・ド・バールのミシェル・ドラピエ。3区画からなる1ヘクタールの畑からブラン・ド・ノワールを造った。この畑は60年代にドゴール将軍向けのキュヴェを仕込んだ特別な区画だった。
 デビュー年は1995。2500本のマグナムのほかに、ジェロボアム、ミダスが造られた。その後、96、98、2004、06、08、09が基本的にマグナム瓶サイズで詰められた。平均的な年には、これの代わりに「B」というキュヴェが仕込まれる。「B」の2003年ヴィンテージを試飲した。業態としてはマルク・ダシュトゥールになる。

 デゴルジュマンは2013年。10年間の瓶内熟成を経て、ポスト・デゴルジュマンも3年を経ている。濃厚な黄金色、ラズベリー、ブリオッシュ、アプリコットのエキゾチックな香りが爆発し、オークはよく統合され、クリーミィなテクスチャー。中盤がややゆるいが、長い余韻に塩みを伴うミネラル感。リッチで、太いが、猛暑の2003にしては酸を残している。デカンタージュして、白ワイン感覚で呑んだ。

 実を言うと、マーケティング中心のラグジュアリー・キュヴェだったら困るなと思っていたが、樽発酵をきれいに行ったコート・ド・バールらしいコクのあるシャンパーニュだった。クリュッグのファンだというパトリックが好きなスタイルなのだろう。サロンの話を引き合いに出したら、「同じように情熱から生まれたプロジェクトだが、私はピノ・ノワールのファンなんだ」と。

 クリスティーズ香港の2015年末のオークションでは、ボエル&クロフのマグナム1996が5万5125香港ドル(約778万円)で落札された。高級ワイン市場では既に、よく知られた造り手なのだ。

2016年4月20日 東京・銀座の「ブルガリ イル・リストランテ」で

シャンパーニュ ボエル&クロフ B 2003
91点
レストラン価格:8万円
販売元:赤坂四方本店

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