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エリザベス女王、世界の銘酒たしなんだワイン遍歴

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 エリザベス女王はワイン界にも大きな足跡を残した。イングリッシュ・スパークリングワインを広め、ペトリュスの名声の確立にも貢献した。その軌跡を振り返る。


 エリザベス女王は国賓との公式晩さん会で、品質向上中のイングリッシュ・スパークリングワインを採用し、各国にそのブランド性を広めた。


 2019年に訪英したトランプ大統領をもてなしたバッキンガム宮殿の公式晩さん会では、シャトー・ラフィット・ロートシルト1990と並んで、女王の公邸であるウィンザー城に近いウィンザー・グレート・パークで生産するスパークリング、ウィンザー・グレート・パーク・ヴィンヤード 2014とハンブルドン・クラシック・キュヴェ ロゼ NVを供した。。


 2015年の習近平・中国国家主席にはリッジビュー・グロスヴナー2009、2011年のオバマ大統領にはリッジビュー・メレット・フィッツロヴィア・ロゼ2004を供した。英国で饗宴の華となるスパークリングは、シャンパーニュから、すっかりイングリッシュ・スパークリングワインが主流になった。


 英国王室には、評論家、BBRなどワイン商、料理人らからなるワイン委員会があり、ロイヤル・ウェディングなどを含む年間300回以上にのぼる行事のワインを選定している。


 一方、在位70周年のプラチナム・ジュビリーでは、英国王室の慈善部門ロイヤル・コレクション・トラストからスパークリングワイン「エリザベス二世女王陛下 2022」を発売した。ケント州とウェスト・サセックス州で栽培されたシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエのブレンドで、ガズボーンが醸造した。オンラインで39ポンドだった。


シャンパーニュは9ブランド王室御用達
1947年の結婚式にペトリュスが登場


 また、晩餐会に欠かせないシャンパーニュでは、9ブランドが英国王室御用達に認められている。ボランジェ、マム、クリュッグ、ランソン、ルイ・ロデレール、モエ・エ・シャンドン、ヴーヴ・クリコ、ポル・ロジェは女王陛下が認め、ローラン・ペリエはウェールズ公(チャールズ新英国王)に認められた。


 赤ワインはメドックの上質なものを好んだ。晩餐会ではムートン・ロートシルトやシャトー・マルゴーの熟成したボトルが並んだ。英国王室は世界で最も歴史と威厳を誇る一族だ。女王によってワインの高い名声が確立されたのがペトリュス。1947年のエディンバラ公との結婚式で振る舞われ、地位を確立した。


 当時、単独所有していたマリー・ルイーズ・ルーバは、ペトリュスを世界最高の銘酒と信じて、積極的にマーケティングしていた。単独販売していたワイン商ジャン・ピエール・ムエックスを通じて、女王にワインを贈呈した。ルーバはめいのリリー・ラコストともに結婚式に出席した。ムエックスは後にペトリュスのオーナーとなり、ケネディ家など世界のセレブを通じて名声を広めた。


 2021年のフォックス・ニュースによると、95歳だった女王は食事と1杯のワインをたしなんでいた。好みはアルザスやドイツのリースリング。80歳の誕生日にはドメーヌ・ヴァインバックのリースリングを飲んだ。甘口も好み、ボルドーの貴腐ワインだけでなく、南アフリカのクライン・コンスタシアのヴァン・ド・コンスタンスも楽しんだとされている。


 長年のカクテル好きでも知られたが、医者のすすめで、近年は好物だったジンとデュボネのカクテル、極辛口のマティーニは控えるようになったという。


 女王はバッキンガム宮殿とサンドリンガム農園でジンを製造していた。サンドリンガムでは、IPAのビールも仕込んでいた。

 

Instagram@theroyalfamily
(C)Royal Collection HER MAJESTY QUEEN ELIZABETH II 2022
女王が名声を高めたペトリュス
エリザベス1世も楽しんだヴァン・ド・コンスタンス
2人の王子のウェディングに供されたポル・ロジェ
王室の農園で造られたジン

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