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クリーンなチリの土着品種、ミゲル・トーレスのスパークリング「エステラード・ロゼ」

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 スペインを代表するミゲル・トーレスは、1960年代に国際品種で先駆けたが、主要産地で地道に土着品種にも取り組んできた。1979年にいち早く設立したミゲル・トーレス・チリでも、その姿勢は変わらない。次代を担うミゲル・トーレス・マクサセクCEOが来日した際に、興味深かったのは地元密着型のワインだった。

 「ミゲル・トーレス・チリ サンタ・ディグナ・エステラード ブリュット・ロゼ」は、パイスから仕込む。パイスは16世紀にスペインの宣教師が南北アメリカ大陸に持ち込んだ。チリ初のヴィニフェラ品種。アルゼンチンではクリオージャ、カリフォルニアではミッションと呼ばれた。栽培面積は減っているが、古木が残されている。

 赤みの強い明るいピンク色、フレッシュで、フェノリックな要素をきれいに制御している。複雑性はさほどないが、クリーンで気軽に飲めるスタイル。心地よい果実味を伴う。2010年に生産を開始し、型が完成されてきた。
 トム・スティーブンソンらが選ぶシャンパーニュ&スパークリングワイン世界選手権2016で、伝統品種以外で造るクラシック・ブリュットの世界チャンピオンに選ばれたのも納得。ポルトガルやギリシャなど各国で、土着品種から瓶内二次発酵方式で造るスパークリングはあるが、粗野になりがちなパイスをここまで洗練させたのは醸造技術のたまもの。値段もお手ごろ。

 もう一つは土着品種ではないが、クリコ・ヴァレーの1世紀を超す自根のカベルネ・ソーヴィニヨンから造る「ミゲル・トーレス・チリ マンソ・デ・ヴェラスコ 2012」。マクサセクの父が発見した畑の古木から少量生産するトップレンジだ。

 ブラックベリー、鉛筆の芯、甘草、よく練れたタンニンと濃厚な果実があり、ダスティだが、バランスがとれている。アルコール度は13.5%。生ハーブのフレッシュ感を残すフィニッシュ。低温でマセラシオンして、ステンレスタンクで発酵、荒々しさのないクリーンなスタイルにまとめている。生産量は6万本。

2016年9月14日 東京・恵比寿のシャトー・レストラン・ジョエル・ロブションで

ミゲル・トーレス・チリ サンタ・ディグナ・エステラード ブリュット・ロゼ
85点
希望小売価格:2200円
ミゲル・トーレス・チリ マンソ・デ・ヴェラスコ 2012
90点
希望小売価格:8000円
輸入元:エノテカ

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