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ノンドゼは熟成するか?答えはジョルジュ・ラヴァルのレ・シェーヌ2004にある

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 シャンパーニュは多彩な畑をブレンドして造るという概念が、近年の単一畑で仕込む栽培醸造家のシャンパーニュによって変更を迫られている。ラヴァルもキュミエールの7区画のうち、「レ・シェーヌ」と「レ・オート・シェーヴル」という2つの単一畑を出している。

 レ・シェーヌは円形劇場のようなキュミエールの東側にある。オーヴィレール修道院に通じる道路脇の中腹にわずか0.45ヘクタール。白亜質の上に広がる表土は30センチ程度と薄い。土壌を考えて、2014年からムニエをシャルドネに植え替えている。小さな区画をブルゴーニュのように単独で仕込むのは違いがあるからだ。

 ブラン・ド・ブランの「レ・シェーヌ 2015」はこの4月に瓶詰したばかり。レモンの皮、白い花、突き刺すような酸とチョーキーなミネラル感、正確で、緊張感みなぎるワインだ。イケムとド・フューザルの古樽で熟成し、微妙な酸化のニュアンスを加えた。ラヴァルのブドウは常に潜在アルコール度が11%を超える。補糖はしない。「レ・シェーヌ 2012」は白桃の香りが加わるが、スーパーフレッシュ。レーザーメスのように切れ、ミッドからフィニッシュにかけてゆっくりとふくらむ。わずか1200本。

 レ・オート・シェーヴルはキュミエール西側の上部斜面。こちらの方が粘土の表土が深い。といっても、馬で耕作し、カバークロップを生やしていて、表土は柔らかい。「粘土に向くムニエとピノ・ノワールを栽培する」とヴァンサン・ラヴァル。ラヴァルの畑の近くに農薬を使うほかの造り手の畑があったため、影響を受けないように、彼の別の畑「レ・シェーヌ・ド・ラ・ビュッテ」と交換したという。生産量は600-800本。

 「レ・オート・シェーヴル 2015」はムニエとは思えない洗練されたスタイル。ふくよかでまろやか。ゴボウの根をかじったようなほろ苦みが混じる。長くて優雅な余韻。1947年の古木も含まれる。「レ・オート・シェーヴル 2012」は焦点が鮮明にあっていて、酸と果実とフェノールが調和のとれた味わい。純粋なエネルギーが中心に凝縮されている。

 貴重な古いボトルが次々とあく。驚いたのは「レ・シェーヌ 2004」。これは私が事前に渡した質問への回答だった。ノンドゼのシャンパーニュは熟成するのか?ドザージュしないと酸化が早いというメゾンのシェフ・ド・カーヴは多い。ラヴァルはすべてノンドゼ。亜硫酸もリットル当たり20ミリグラムときわめて少ない。
 ワインが雄弁に語っていた。10年以上の熟成を経た瓶をア・ラ・ヴォレでデゴルジュして飲んだが、ピュアでバランスがよく、きわめてフレッシュ。磯の香り、黄桃、樽によって増幅されたエキゾチックな香りは複雑な層をなしている。塩をなめるような後味。さらに10年以上は軽く熟成する力がある。2004は傑出したヴィンテージではないが、このキュヴェは例外的だ。

 「2004は実をたくさんつけそうだったので、グリーン・ハーヴェストをした。よく熟した完ぺきなぶどうなら、亜硫酸を控えて仕込んでも、きれいに熟成する。メゾンがドザージュするのは、欠点を隠す必要があるのさ。栽培から瓶詰めまでをきちんとすれば、最後に調整する必要はない」。確信に満ちた言葉だった。

2016年6月14日 シャンパーニュ・キュミエール村で

シャンパーニュ ジョルジュ・ラヴァル レ・シェーヌ 2015
91点
シャンパーニュ ジョルジュ・ラヴァル レ・シェーヌ 2012
93点
シャンパーニュ ジョルジュ・ラヴァル レ・オート・シェーヴル 2015
91点
シャンパーニュ ジョルジュ・ラヴァル レ・オート・シェーヴル 2012
92点
シャンパーニュ ジョルジュ・ラヴァル レ・シェーヌ 2004
94点
輸入元:ヴォルテックス

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