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5ケースのソーヴィニヨン・ブラン、フレッシュ感際立つスクリーミング・イーグル

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 訪問の難しいワイナリーが数ある中で、スクリーミング・イーグルはその筆頭に入る。定期的に試飲しているのは、ワイン・アドヴォケイトのロバート・パーカー氏とヴィノスのアントニオ・ガッローニ氏のみ。英国人の評論家もほとんど受け入れない。デビッド・ベッカムの要望も断ったと、関係者から聞いた。ワイン・スペクテーターのジェームス・ロビー氏は、来年1月に初めて訪問するそうだ。「ナパのダウンタウンの同じジムに7年間も通っていて、顔見知りだったが、仕事で来るのは初めて」と総支配人のアルマン・ド・メグレ氏は笑う。「我々はメディアを追わない」のだという。

 フランス生まれのもの静かな総支配人と31歳のワインメーカー、ニック・ギラソンの2人は、控えめで、宣伝っ気はない。陽気なカリフォルニアンというより、ボルドー右岸の農民のたたずまい。クリスチャン・ムエックスのように謙虚で、哲学的だ。「ビジネスに興味はない。もてなす体制もない。品質にフォーカスしている」とアルマン。3年前の訪問時に、「カルトワインと呼ばないでくれ」と言われた。今回は気をつけたものの、ナパヴァレーで最も高価なワインであるのは間違いない。
 ワインは3種。ソーヴィニヨン・ブラン、メルロ主軸のセカンド・フライト、カベルネ・ソーヴィニヨン主体のスクリーミング・イーグル。生産量は白が30~50ケース、赤がそれぞれ600~800ケース。メーリングリストの価格はそれぞれ、300ドル、400ドル、850ドル。二次市場では、数倍から10倍にはね上がる。メーリングリストに入るのは、だれかが亡くなるしかないという伝説がある。「遺族がそのまま引き継ぐこともある」とはアルマン。日本にも数人の顧客がいるようだ。

 ここで最も希少なのは白ワインだ。わずか2樽。30~50ケースが詰められる。世界中の長年の購入客に対して、約5ケースがオファーされる。残りはワイナリーでのディナーなどで消費される。ワイン・サーチャーで調べると、流通価格は3000ドルを軽く超す。蔵出しの10倍以上する。「市場価格はない」とアルマン。2006年に植えた0.8ヘクタールの北向き斜面から生まれる。面積はラ・ロマネ並み。2010年に収穫し、2012年ヴィンテージから生産を始めた。ソーヴィニヨン・ムスクを含む3種のクローンを植えている。

 赤ワインを試飲した最後に、デカンターしてあったソーヴィニヨン・ブラン2013を飲んだ。フラワリーで、洋ナシ、ハニーサックル、ミント。ナパヴァレーのソーヴィニヨン・ブランにしてはフレッシュ感が強い。14.6%のアルコール度を感じさせない。PHは2.95と低かった。スパイシーさを伴うほの青さとまろやかな質感が調和している。ノンマロ。100%樽で発酵し、10%が新樽。ナパには珍しい粘土の多い土壌から。オークヴィル東部にありながら、冷涼な微気象を備えるテロワールがよく表れている。
 アルマンに言わせれば、これは「ミュジニーのシャルドネのような存在」。ドイツでプロを集めたブラインド試飲で、オー・ブリオン・ブラン、フューザル、ディディエ・ダギュノーのプイィ・フュメ・ピュルサンなどを抑えてトップにたったという。「世界一のソーヴィニヨン・ブラン」とも。自慢めいたことを言わない彼には珍しい。
 ロバート・パーカーのつけた低い点が気になるのかもしれない。パーカーは点数評価しないという約束を破ったそうだ。私は約束を守るが、パーカーポイントは低すぎると思える。

2015年12月10日 カリフォルニア・ナパヴァレーのスクリーミング・イーグルで
スクリーミング・イーグル ソーヴィニヨン・ブラン 2013
輸入元:ワイン・イン・スタイル

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