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ブルゴーニュの権威ジャスパー・モリスMWが9月に英国で刊行したガイドブック「Inside Burgundy」第2版がようやく、日本に入ってきた。日本語版「ブルゴーニュワイン大全」も出た初版より内容が充実し、最新情報が盛り込まれた。ブルゴーニュの愛好家必携の大著だ。
モリスは1979年からワインビジネスに携わり、1985年にマスター・オブ・ワイン資格を取得。2003年から2017年まで英国のワイン商ベリー・ブラザーズ&ラッド(BB&R)のディレクターとして活躍した。1981年からブルゴーニュに暮らし、現在は有料サイトで最新情報を発信している。
亡くなったベッキー・ワッサーマンと交流が深く、ドミニク・ラフォンら多くのヴィニュロンの友人を持つ。バンジャマン・ルルーやオリヴィエ・バーンスタインら多くの造り手を発掘し、BB&Rを通じて世に出した。
第1版の刊行は2010年。2014年に来日した当時、「Inside Burgundyは私のライフワーク」と語った。10年間にわたりさらに積み重ねたフィールドワークの成果が詰まっている。来日時のインタビューはこちら
第2版は第1版より150ページ増えた。紹介している生産者数は700と増えて、この10年間に登場した注目株も加わっている。既存の有名ドメーヌのプロフィルは大幅に書き換えられ、最新の情報をフィーチャー。各ドメーヌが造るクリマの正確な面積が添えられている。
ジョルジュ・ルーミエにエシェゾーが加わった事情、ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ・プティ・モンなどDRCが販売していないワインの詳細など、現地に深く食い込んだモリスならではの、内幕話(インサイド・ストーリー)はマニアの関心をそそるに違いない。
1200にのぼるグラン・クリュからヴィラージュまで重要な畑のテロワールと所有者の紹介は、最新の詳細な内容になっている。この10年間の変化の大きさを思い知る。リュシブールやロマネ・サン・ヴィヴァンなど、重要な畑の所有者と面積のわかるカラー地図は、畑の個性の理解を深める上で欠かせない。
注目度の高まるマコネ、コート・シャロネーズ、オート・コート、シャブリについても、重要なクリマ、生産者が盛り込まれている。また、プレモックス(熟成前酸化)の背景やアリゴテの隆盛にもふれている。
ニューヨーク・タイムズ紙のワイン担当エリック・アシモフは「長年にわたり、ブルゴーニュについて多くの本が書かれてきたが、これほど便利で包括的な参考書はない」と、2021年最高のワインブックの1つに取り上げた。
ブルゴーニュを探求するプロや愛好家にとっては、疑問が生じたら戻ってくるべき基準点を記した、揺るぎない大著である。
出版元は英国のBB&R Press。価格は1万1000円。書店での販売予定はない。販売元はベリー・ブラザーズ&ラッド日本支店カスタマーサービス。問い合わせは以下の通り。
本の購入は
https://www.bbr.co.jp/fs/berrybros/BJ66000144
問いわ合せは
https://www.bbr.co.jp/contact/
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