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シャトー・ラグランジュ進化の軌跡、重慶飯店の中華料理とのペアリング…グルメサミット

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 ボルドーのシャトー・ラグランジュと重慶飯店の料理を合わせる「ローズホテル横浜 グルメサミット2021」が16日、横浜・中華街のローズホテル横浜で行われた。16年間にわたりシャトーをけん引した椎名敬一・元副会長の解説を聞きながら、ボルドーとの相性を考慮した中華料理を楽しんだ。


 グルメサミットはローズホテル横浜の40周年記念イベントとして始まった。ワインと中華料理のペアリングにこだわるホテルらしい企画。昨年に続いて2回目。


 現在はサントリーワインインターナショナルのチーフエノロジストを務める椎名さんは、サントリーが1983年に購入したサンジュリアンの格付け3級ラグランジュに2004年に着任。昨年8月に16年間の任期を超えて帰任した。ラグランジュの栽培面積は118ha。格付けシャトーで最大級の広さを誇る。


 前任の故・鈴田健二さんがボルドー独自のワイン文化に溶け込みながら、ブドウ樹の植え替えやシャトー改修などの基礎を固めた。椎名さんは樹齢の高まる畑の土壌調査をして、105区画をさらに細分化した栽培に取り組む一方で、区画別の発酵に対応する小型発酵槽や光学式選果機を導入し、ワインの品質を向上させた。


進化をたどる2016、2015、2005のミニ垂直試飲


 ディナーでは、椎名さんが初めて手掛けた2005と第3世代に入った2015、転換点となった2016のほか、白ワインのレ・ザルム・ド・ラグランジュ2018などを、活ホタテ貝のXOソース蒸し、国産豚スペアリブ揚げ黒酢炒めなどに合わせた。


 「シャトー・ラグランジュ 2016」(Chateau Lagrange 2016)はカベルネ・ソーヴィニヨンの収穫を10月17日に始める遅摘みで、糖度とフェノールの成熟を達成したヴィンテージ。世界の評論家からも評価され、ラグランジュがステージを上げた転換点だ。


 カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ24%、プティ・ヴェルド6%。全生産量の中でグランヴァン比率は49%。コアに黒みを残すガーネット、ブラックベリー、ボイセンベリー、リコリス、シルキーで、凝縮した果実、なめらかなタンニン。丸いバランスがある。ほのかにミンティで官能的、ミッドパレットから厚みを保ちながら、アーシーでキレの良いフィニッシュにつながる。バランスよく、既に楽しめる。95点。


 「シャトー・ラグランジュ 2015」(Chateau Lagrange 2015)は2010年以降、難しかった4つのヴィンテージを経た5年ぶりのグラン・ミレジメ。1984年からの植え替え、樹齢の高まりを経て、樹齢が20年を超えて第3世代に入った。2014年からは105区画のさらなる細分化も始めた。


 カベルネ・ソーヴィニヨン75%、メルロ17%、プティ・ヴェルド8%。2016の凝縮感とバランスには届かないが、フレッシュでジューシー、スムーズで、きれいに統合されている。森の下草、濡れた石、ほのかにコーヒー、サンジュリアンらしいストラクチャー、適度な深みがある。熟成が期待できるエレガントなミディアムボディ。93点。


 「シャトー・ラグランジュ 2005」(Chateau Lagrange 2005)は2004年に着任した椎名さんが初めて手掛けたヴィンテージ。カベルネの樹齢がまだ若く、ブレンド比率はカベルネ・ソーヴィニヨン46%、メルロ45%、プティ・ヴェルド9%。グリップがあり、メルロの特色がよく現れていて、ヴェルベッティ。タンニンが溶け込んでいて、15年間熟成したボルドーの美しさがよく出ている。腐葉土、タバコ、サンジュリアンらしいしっかりした下半身と太さがあり、さらなる熟成の可能性も感じ取れる。93点。


 椎名さんが16年かけてワインを進化させてきた足跡をミニ垂直試飲でたどりながら、うまみの豊かな料理とのペアリングを楽しめた。

サントリーワインインターナショナルのチーフエノロジスト椎名敬一さん
活ホタテ貝のXOソース蒸し
上海蟹味噌と白菜入りフカヒレの姿煮
国産豚スペアリブ揚げ 黒酢炒め

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