イケム1806やロマネ・コンティ1990、スペインで100万ユーロ超の世紀の窃盗

　スペイン西部エストレマドゥーラ州の城塞都市カセレス（Caceres）の2つ星レストランから、シャトー・ディケム1806を含む高価なワインコレクションが盗まれた。100万ユーロをこす40本以上の高級ワインを盗んだプロの犯行は、スペインのメディアで「世紀の窃盗」と報じられている。

　被害にあったのは、ミシュラン2つ星のアトリオ・レストラン・ホテル（Atrio restaurant-hotel）。盗まれたのは45本の高級ワイン。以下のものが含まれる

シャトー・ディケム7本
1806、1883、1884、1891、1899、1900、1901

ロマネ・コンティ24本
1990、1991、1992、1993、1997、1989、1999、2001、2002、2003、2009、2012

ラ・ターシュ1990　1本　

DRCモンラッシェ

　報道によると、10月26日、スイスのパスポートを持つ、かつらをかぶった40代の女性がバックパックを持って、ホテルに到着した。その後、英語を話す男性が合流し、2人は夕食を楽しみ、ホテルの部屋に泊まった。

　カップルは夜中にフロントに電話をかけてきて食事を注文した。レセプションのスタッフが午前1時30分ごろ、サラダとデザートを準備して部屋に運んでいる間に、1階のワインセラーに侵入し、犯行に及んだと見られている。防犯カメラには男がワインをバッグに入れている様子が記録されていた。

　セラーは電磁ロックがかけられていた。無理に開けられた形跡はなく、高度な電子機器が使用されたと見られる。45本のワインはバッグで運ぶには重すぎる。警察は用意周到なプロの犯行と見て捜査している。カップルは礼儀正しく、身なりもしっかりしていた。翌日の5時30分にホテルを出た。

　イケムの1806年は、アトリオの共同オーナー兼ソムリエのホセ・ポロが約20年前、ロンドンのクリスティーズのオークションで1万2000ユーロで落札した。レストランでの価格は35万ユーロ。ボトルのネック付近が破損したため、2001年にシャトーに送って、新しいヴインテージを継ぎ足して別のボトルに移し替えた。

　アトリオのコレクションは有名で、21か国から集めた3万7000本のワインを所有し、ワインリストは300ページを超す。

　HPに掲載される壮麗なワインリストはこちら

　ワインには保険がかけられていたが、ポロは時間をかけて集めた”文化遺産”の喪失に心を痛めている。ポロは「お金や物ではなく、歴史の一部を私たちの心から盗んだ」と地元紙にコメントした。

　盗まれたのは市場価値の高い希少なワインばかり。通し番号があるため市場で売りさばくのは難しい。ポロは個人のコレクターがプロの窃盗犯に依頼した犯行ではないかという見方を示している。