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今年のボジョレーは春霜やミルデューによって生産量が減少し、輸入量は減少傾向にある。ボジョレー・ヌーヴォーの現地価格は上がったが、日本での販売価格の値上がりは避けられそうだ。コロナ禍の影響と反動か、ホテルやレストランの受注は上向いているという。
ボジョレーもフランスのほかの産地と同様に、2021年は厳しい作柄となった。4月の霜で20-30%がダメージを受けた。6月から7月にかけて降雨量が多く、ベト病やうどんこ病が発生した。コート・ドールのオーガニック生産者からは「この20年間で最も難しい」との声も聞こえる。
ボジョレーの収穫開始日は9月8日で、クリュ・ボジョレーのモルゴンは20日と遅かった。収穫が遅くなると、醸造期間の短いボジョレー・ヌーヴォーには不利な条件となる。
Vitisphereによると、収穫量はボジョレーで35hl/ha、ボジョレー・ヴィラージュで30hl/haだった。ボジョレー・ヌーヴォーの価格は50%も上がった。ボジョレーワイン委員会が発表した初期市場価格表によると、ボジョレー・ヌーヴォーが280ユーロ/hl、ボジョレー・ヴィラージュが300ユーロ/hlを超えた。昨年の190ユーロ/hlの上限価格と比較して50%上昇した。
ヌーヴォーの総市場は前年比2%減の見込み
これを受けて、蔵出し価格も上昇した。日本のあるインポーターは「蔵出し価格の値上がりは10%を超え、為替も昨年より厳しい。ただ、レストランやホテルの受注が手堅かったこともあり、小売価格は据え置いた」という。
とはいっても、輸入量の減少は避けられない。最大手のサントリーは「収量は2020年比で30%、過去5年平均で25%減ったため、日本の輸入量も前年より減少すると見ている。ボジョレー・ヌーヴォー総市場は、前年比2%減の30万ケースと見込まれる」と予想する。
2020年の日本向け輸出量は32万ケースだった。ヌーヴォーの輸入量はピークだった2004年と比べると3割減っており、2012年以降は減少傾向にある。それでも、日本が輸出量の46%を占める世界トップのヌーヴォー大国であることに変わりない。
コロナの好影響? 家庭・業務用ともに受注は上向き
一方、販売価格は、サントリーもメルシャンも企業努力で据え置いている。メルシャンはハーフサイズやロゼ、無添加と前年を上回り大きく伸びたアイテムはあったが、飲食店分やスタンダードの落ち込みもあり、受注締め後の販売数量が13%減となった。サントリーは前年比2%増の5万5000ケースの販売計画を立てている。
サントリーは「受注数量が家庭用・業務用ともに前年を上回ったことから、ボジョレー・ヌーヴォーにはチャンスがある。コロナ禍での生活の中で、季節感や特別感を自ら生み出して楽しみたいという消費者の価値観の変化が、ボジョレー・ヌーヴォーの価値とマッチしたことが影響していると考えている」と語っている。
コロナの影響によるおうち飲み需要の増大と、緊急事態宣言の解除がプラスに働く可能性はある。
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