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ワイナリーのチームワークがオーガニック・ワインの推進力…オーガニック・ワイン・ウイーク

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 ニュージーランドに旅する人の多くが、空港の検疫の厳しさに驚くだろう。食品や植物の持ち込みは固く禁じられ、申告していないと罰金を課せられる。


 それはワイナリーも同じだ。セントラル・オタゴのリッポンを訪問した際は、前日に靴をきちんと洗って来るように確認のメールが来た。フィロキセラなどの害虫がビオディナミを導入しているブドウ畑に入るのを防ぐためだ。環境を守る意識が強く伝わってきた。


 島国であるニュージーランドが、厳格な対策で、新型コロナウイルスの被害を抑え込んだことははよく知られている。8月にデルタ感染者が1人だけ確認された際は、全国規模のロックダウンが実施され、厳しい移動制限が課された。国民が不平一つ言わずに従うのにも驚かされた。


 ワクチン接種反対を、市民たちがデモで叫ぶ自由の国フランスやアメリカとは大いに違っていた。ニュージーランド国民には、ラグビー選手と同じく、チームワークの精神が根付いているようだ。すなわち、自分たちのコミュニティを安全にしようという連帯意識を国民が共有している。


共同体意識が守る生物の多様性


 それはワインの世界にも通じるように思える。オーガニック栽培は、1軒のワイナリーががんばるだけでは効果を発揮しにくい。認証を受けた生産者が、農薬や殺虫剤をストップしても、隣の畑が使っていれば影響を受ける。周辺の生態系の多様性を保てない。


 世界的なコンサルタントのサム・ハロップMWは、自身のウェブサイトを立ち上げて、醸造に関する知見を発表している。情報のシェアが、ニュージーランドのみならず、世界のワイン造りを進化させるという考えが根底にある。


 サムが造る「セダリオン」などのワインはオーガニックなブドウから造る自然派ワインだが、教条主義的なワインメーカーではない。


 「ワイン造りは介入をしすぎても、恐れてもいけない。理想はバランスがとれて、ハーモニーがあって、個性に満ちたワイン。自然派ワインと技術的な商業的ワインの中間という位置づけで、『シンパセティック・ワイン』と私は呼ぶ」と、ナチュラルなワイン造りを先導している。


 2016年に始まった「ファイン・ワインズ・オブ・ニュージーランド」は、サムやクメウ・リヴァーのマイケル・ブラコビッチMWら専門家が、ニュージーランドを代表するファインワインを選んでいる。ニュージーランド航空がサポートしているが、ワインのセレクションは、トップテイスターがブラインド・テイスティングで行っている。志の高いワインコンペティションだ。


 ニュージーランドには、ピノ・ノワール・セレブレーションなど全土の生産者が参加するイベントがある。そこに、イギリスをはじめとする世界のジャーナリスト、バイヤーが集まり、ワインを試飲し、最新トピックを議論し、品質が向上する。同時に、世界にニュージーランドワインの魅力をプロモートしている。


 ほかの国は特定の産地発信型のイベントが多く、ニュージーランドのように国中のワイナリーが参加するイベントは珍しい。その理由について、ボブ・キャンベルMWは「ニュージーランドは国も小さいし、まだ発展の途中。自分のワイナリーや産地をプロモートするよりも、ニュージーランドの国全体を盛り上げようという機運があるんだ」と解説してくれた。


過去10年間で300%増加したオーガニックワイン


 ニュージーランドのオーガニックワインの98%以上を認証するBioGroニュージーランドが21日に発表したリリースによると、オーガニックワイン部門の市場規模は6500万ドルで、オーガニック市場全体の約10%を占めている。ニュージーランドでは最大のオーガニック部門の1つとして第3位にランクされている。


 過去20年間で急激に成長し、過去10年間で300%の増加を記録している。


 オーガニック・ワイングローワーズ・ニュージーランド(Organic Winegrowers New Zealand=OWNZ)の取締役でもあるジャレッド・ホワイトは、「この成長はおいしいワインを造ることに情熱を持ち、自分たちの土地を大切にする生産者やワインメーカーによって支えられている」と語った。


 レポートによると、オーガニック栽培のブドウ畑は、マールボロに集中しており、次いでセントラル・オタゴで、ピノ・ノワールとソーヴィニヨン・ブランの生産に重点が置かれている。


 OWNZは1983年の設立以来、ワイン生産者ネットワークを築いて、235のブドウ畑が認証に登録されている。合成化学肥料や農薬、除草剤を使用していない。世界のオーガニックワイン市場は、2020年から2027年にかけて年率10.7%で成長すると予測されている。


 オーガニックワインは、生産者にとっても、消費者にとっても明るい未来だ。

 

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