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ジャンシスと大橋MWと共に寿司ワイン、ヒューゲルのシェルハマーとカピケーラのヴェルメンティーノ

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 日本ワイン界も進化している。ジャンシス・ロビンソンMWの来日は4度目だが、今回が最も盛り上がった。世界に目が向いてきた証拠だろう。評論家ロバート・パーカーと並んで、世界で最も有名なワインジャーナリストとそのご主人の食評論家ニコラス・ランダー氏と、寿司カウンターに座る機会に恵まれた。紹介してくれたのは大英帝国が誇る「高級ワインを世界で最も売る男」サイモン・ステイプルズ氏(BB&R)。日本が誇る大橋健一MWも参加。彼は、ジャンシスの「オックスフォード・コンパニオン・トゥ・ワイン」「ワールド・アトラス・オブ・ワイン」の寄稿ライターでもある。

 私が「寿司ワイン」として持参したのは、「ヒューゲルのシェルハマー・リースリング2007」。8年間も熟成して発売したグランクリュ、シュナンブールの単一畑だ。シャブリとリースリングは寿司と合わせやすい白ワインの筆頭だと考えている。

 予想通り、貝類や白子、白身魚とよい相性だった。ユズや黄桃の香りがポン酢とも調和。化石混じりのチョーキーな土壌から生まれたミネラル感が、深みのある果実に溶け込んでいる。リッチでありながら、生き生きした味わいは、旬の素材の精妙さ、滋味深さを持ちあげた。きわめて正確で洗練されたフィニッシュ。

 ジャンシスも「いい組み合わせね」と気にいった様子で、「シャポー」と笑ってくれ一安心。大橋MWは、いつものち密なコメントではなく、「ぶっ飛びだね」を連発していた。彼はリサーチ・ペーパーの調査のために東京中の寿司屋を食べあるいた「マスター・オブ・スシ」。日英を代表するMWが評価してくれ、面目を施した。

 大橋MWが合わせたのは、ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャの「カピケーラ リントーリ 2013」。基本的にステンレスタンクで醸造されている。黄色のバラ、アプリコット、アーモンド、余韻にほろ苦みを伴うミネラル感が伸びる。サルデーニャの暑さは感じさせない。肝をはさんだカワハギの握りのリッチさと相乗した。

 それにしても、ジャンシス&ニック夫妻の集中力と真剣さから、世界の頂点に立つジャーナリストのすごみが伝わってきた。寿司職人にシャリの違いを質問し、テイスティングノートをとる。飲むことも、食べることもすべて仕事に直結しているプロだ。1947年生まれのパーカーが一線から退いたのに対して、3歳若い大英帝国勲章を叙勲した「ワインの女王」は、最前線を疾走している。「産地に行くのは楽しいわ。好奇心を駆り立てられる。終わりなき旅よ」と。

 彼女は有料サイト「ジャンシス・ロビンソンコム」を成功させた起業家でもある。ジュリア・ハーディング、アレックス・ハントMWら優秀なチームを率いるリーダーだ。彼女のウェブサイトは、MW受験生もプロも必読の情報の宝庫だ。彼女から日本の愛好家へのメッセージが送られてきたので紹介する。毎日更新され、記事の3分の1は無料で読める。
 
I hope that my visit to Japan may encourage Japanese wine lovers to take a look at my award-winning website JancisRobinson.com. It’s updated every day, looks at the whole world of wine completely independently, and about a third of the 10,000 articles are free.

2016年3月8日 東京・赤坂見附の「すし匠 齋藤」で

ヒューゲル リースリング シェルハマー 2007
97点
希望小売価格:1万6000円
輸入元:ジェロボーム
カピケーラ リントーリ 2013
89点
希望小売価格:4000円
輸入元:日欧商事




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