ナパ山岳部のソーヴィニヨン・ブラン、スプリング・マウンテン・ヴィンヤード

　ボルドーは赤ワイン産地として名高い。白ワイン比率は1割だが、1950年代までは半数近くが白ワインだった。1956年の霜害を契機に、黒ブドウへの植え替えが進んだ。ペサック・レオニャンから秀逸な白ワインが生まれ、左岸ではシャトー・マルゴーがトップを行く。
　カリフォルニア・ナパヴァレーも赤ワインで知られるが、冷涼な産地から良質な白ワインが生まれている。平坦なヴァレー・フロア（谷床部）よりも、山岳地帯が適している。ダイアモンド・マウンテン、ハウエル・マウンテン、マウント・ヴィーダーなど山岳部のAVAの中で、スプリング・マウンテンもその一つだ。

　標高120から800メートルに広がる405ヘクタールに30ワイナリーがある。品種はカベルネ・ソーヴィニヨンが半分以上を占めるが、シャルドネとソーヴィニヨン・ブランも栽培されている。スプリング・マウンテン・ヴィンヤードが知られるようになったのは、シャルドネを通じてだった。1976年のパリの試飲会で、1973年産のシャルドネが4位に入った。
　ここの赤ワインは抑制されたスタイルだが、ソーヴィニヨン・ブランも好感が持てる。イチジク、熟した白桃、レモンバーム、味わいはたっぷりした果実味があるが、輪郭のはっきりした酸がバランスをとっていて、だれるところがない。継ぎ目のないフィニッシュ。ボルドー的なスタイルだ。

　ソーヴィニヨン・ブラン95％とセミヨン5％。ニュートラルなフレンチオークで発酵し、4か月間のバトナージュを施している。300ケースと少ない。
　スプリング・マウンテンでは、19世紀に既にベリンジャーがブドウを栽培していた歴史がある。セントヘレナに行くたびに、西側のマヤカマス山脈に広がる風景を眺めずにいられない。狭い峡谷に、ヴァレー・フロアがあり、そびえる山の畑がある。その多様性もナパヴァレーの面白さだ。

2016年3月25日　自宅で

スプリング・マウンテン・ヴィンヤード　ソーヴィニヨン・ブラン　スプリング・マウンテン　2012
87点
希望小売価格：7500円
輸入元：アイコニックワインジャパン