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ワイン造りやワイン選び、アドバイスしてくれるAIが登場

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 好みの風味のワインを造ったり、消費者に好みのワインを勧めたりするAIシステムを、米国のスタートアップ「Tastry」(テイストリー)社が開発した。ワイナリーや小売店で既に使われており、今年後半にはヨーロッパにも登場する予定だ。このAIは専門家やソムリエが地道に経験を積み重ねてきたワインの造り方や選び方を変えるだろうか。


 CNNの記事によると、創業者のカテリーナ・アクセルソンは、ワイナリーで化学専攻の学生として働いていた時にこのAIを開発した。ワインのサンプルを分析し、何千もの化合物を特定し、化合物がどのように相互に作用するかを調べ、フレーバーのプロファイルを作成した。AIはそのプロファイルを基に、データベースに登録されているほかのワインと味、香り、質感、色を比較できる。


 彼女はこの技術に基づいて、消費者に好みのワインを推薦するアプリ「BottleBird」を開発した。小売店のワイン売り場でユーザーがクイズに答え、味の好みを入力したところ、ソフトウェアが適切なワインを1回目のトライアルで80-90%の精度で勧め、追加で入力すると95%まで精度が上がるという。


 さらに、Tastry社はカリフォルニアの大手ワインメーカー「O'Neill Vintners and Distillers」(オニール ヴィントナーズ&ディスティラーズ)と取り引きを始めて、ワインのブレンドに使うタンク選びをアドバイスしている。


 オニール社のワイン製造・栽培部門のマーティ・スペイト副社長によると、狙った風味のプロファイルを作る際に、30以上の異なるタンクのワインを組み合わせるが、AIはブレンドの過程を効率化しているという。ワイン醸造チームの代わりにはならないが、推奨されるデータで合理化が進められる。


 今回のAIにはソムリエから批判的な意見も出ている。ロンドンのワインクラブ「67 Pall Mall」の責任者ロナン・セイバーンMSは、「コンピュータに芸術作品を分析させるようなもの」とコメント。「以前に飲んだものをベースに、コンピュータに指示されたものを飲むことに、人々がどれほど熱心になるかはわからない」とし、「ワインの魅力のひとつは自分の意見を持つことだと思う」と語った。


 アクセルソンはワイナリーで働いた時に、ワイン評価の「特異性」に気づいて、今回のアイデアを思いついた。AIの利点を教育するのに時間がかかることは自覚しているが、人々が受け入れるのは時間の問題だと発言している。

 

 ワインの試飲や評価は客観的にデータ化しにくく、個人の体験に基づく官能的な判断に支配されがちだ。そうした感性に左右される領域に科学を持ち込むAIが今後も増えていくのは間違いない。それをはなから否定するのではなく、可能な部分はうまく活用する発想が、今後のワイン産業には求められるだろう。

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