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明日開催のシンワ・ワインオークション、ラ・ターシュ1959やロマネ・コンティ2000に偽造の疑い

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 シンワオークションが明日29日に開くワインオークションに、偽造品の疑いがあるロマネ・コンティやラ・ターシュが少なくとも5点出品されている。


 疑わしいのはカタログに画像つきで紹介されているDRCのラ・ターシュ1959(Lot159)。亡きマイケル・ブロードベントは1959年を「戦後で最も偉大なヴィンテージの1つ」と評しており、ラ・ターシュ1959は伝説的なワイン。2万7715本が生産された。落札予想価格は40万-50万円。今回のオークションの目玉的存在。


 疑わしいのはシリアル・ナンバーが「0401」と4桁になっていること。通常は1万本以上が生産されるラ・ターシュのシリアル・ナンバーは5桁か6桁で表示される。カタログの画像を以下に述べる2点のワインの画像と比較すると、奇妙さがよくわかる。


 クリスティーズが2018年9月にニューヨークで開いたオークションに出品されたボトルのラベル(画像左上)は「09835」となっている。評論家ニール・マーティンが2020年11月にヴィノスに投稿した1959ヴィンテージの記事には、グラン・エシェゾー、ラ・ターシュ、リシュブールの1959のラベル(画像下)が掲載されているが、いずれも5桁か6桁となっている。

 

 クリスティーズのボトルは4655ドルで落札された。マーティンの3本のDRCは、ドメーヌから直接入手したボトルや有名なコレクターが所有していたもので、共同経営者オベール・ド・ヴィレーヌも出席した試飲会で供された。


 このカタログの画像を、2005年に出版された伝記本「LE DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI」(翻訳本:ル・ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ)の著者ゲルト・クラムに送付したところ、「信憑性に欠けます」との返事が返ってきた。


キャップシールが真正品と異なるロマネ・コンティ


 また、ロマネ・コンティの1993(Lot173)、2000(Lot175と176)、2011(Lot177)も疑わしい。とりわけ、2000ヴィンテージについては、真正品のロマネ・コンティ2000のキャップシールの「R」には白い影がないのに、出品された2本には影がある。

 

 また、DRCのキャップシールは1993ヴィンテージから変更されて、赤みの弱い落ち着いた色調になったが、下見会から入手した画像を見ると、いずれも代赭色の強い色調になっている。


 1993と2011のキャップシールも色調が暗いうえに、真正品とは異なるフォントの特色がある。関係者によると、この4本は同じ業者が出品したもの。中国で製造された偽ロマネ・コンティに共通する真正品とは異なるフォントの特色があり、偽造ワインと判断できる根拠がある。それを公開すると、偽造犯に情報が伝わり、改良されてしまう危険があるためその詳細はここでは記述しない。


 ロマネ・コンティ1993の落札予想価格は170万から250万円。2000の落札予想価格は190万から300万円。2011の落札予想価格は150万から230万円。


 シンワオークションには、この4本について偽造品と疑う理由を示した上で、見解とこのまま出品するかどうかを問い合わせたが、返答はきていない。

ラ・ターシュ1959。右上はシンワオークションのカタログ掲載画像。左隣はクリスティーズ出品ボトル。下はニール・マーティンの記事画像
ロマネ・コンティ2000。イー・エス・ジャパン輸入の真正品(左)は内側の影がない。オークション出品(右)は影があり色調も異なる
下見会で展示されたロマネ・コンティ1993(左)を真正品の1996と比べると、代赭色の強い色調なのがわかる
1993と同一の出品者から出た2000と2011。2000のキャップシールの「R」には影があることがわかる。色調も暗い

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