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シンワオークションが開いたワインオークションで高額で落札されたロマネ・コンティに、偽造品の疑いが浮上している。生産者ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の前醸造責任者ベルナール・ノブレ氏が、画像を見て「偽造があるように思える」とコメントした。正規輸入品の空き瓶を利用した偽造品と見られる。
問題が指摘されているのは4月17日に開かれたオークションに出品されたロマネ・コンティの2000、2001、2004ヴィンテージの計3本。それぞれが単一ロットで出品された。2000が220万円、2001が180万円、2004が175万円でそれぞれ落札された。ロマネ・コンティは今回のオークションの目玉となったワイン。3本を含むロマネ・コンティ4本のボトル画像はカタログの表紙にも掲載された。
下見会で撮影したボトルの全体像、キャップシールと天面の画像を、ノブレ氏に2回にわたり、メールで送付した。彼からは「キャップの呼称のエンボス加工は私には怪しく見えます」「写真の詳細を見るのは難しいですが、偽造があるように思えます」という返事が返ってきた。
ノブレ氏は1978年、DRCに参画し、1986年に父アンドレの後任として醸造責任者となった。2018年1月に引退した。40年間にわたりDRCのワイン造りを担ってきた。
偽造の疑いを抱いたポイントはキャップシールだ。「ROMANEE-CONTI」のフォントが真正品と異なる。
キャップシールの「ROMANEE-CONTI」の「R」の文字の中央は通常は白い影が入っているが、2004ヴィンテージには影が入っていない。今回、出品されたボトルには影が入っている。私個人所有の真正品(左)と出品ボトルの画像を比較すると違いがわかる。
また、天面のエンボス(浮き彫り)加工した社名「SOCIETE CIVILE DU DOMAINE DE LA ROMANEE-CONTI」が、出品ボトルはコルク上できれいにおさまらず、ゆがんでずれている。これも真正品のリシュブール1997画像(左)と比較すると違いは明らかだ。
さらに、真正品とは異なるフォントの特色が3本に共通して存在し、偽造ワインと判断できる根拠がある。だが、それを公開すると、偽造犯に情報が伝わり、改良されてしまう危険があるためその詳細はここでは記述しない。
近年は本物の空き瓶を再利用した偽造のロマネ・コンティが出回っている。キャップシールもコルクも精巧に造られているが、かぶせる際に微妙なずれが出たり、ヴィンテージによりフォントが異なったりする点を確認していない場合もある。
ノブレ氏のコメントはこのフォントとエンボス加工から判断して、キャップシールが偽造品ではないかという疑いを示したものだ。
シンワオークションのアドバイザーを約3年間、務めたワイン鑑定家の堀賢一氏は「ロマネ・コンティの空き瓶はヤフオク!で20万円を超す高値で取り引きされている。近年は真正品の空き瓶にワインを詰めて、キャップシールを製造してかぶせた精巧な偽造品が主流となっている」と語った。
シンワオークションは1990年にさかのぼる歴史を有する美術品やワインを扱うオークション企業。2005年にヘラクレス(現JASDAQ)に上場した。
シンワオークションの現在の顧問、渋谷康弘氏は真贋チェックについて「キャップシール、ボトルラベルの印字・インクも拡大顕微鏡を利用しチェックしております。また、ボトル製造社の確認、輸入元企業様の確認(保税倉庫に入った形跡があるかの確認)、場合によってキャップシールを外して確認するようにしております。今回は山本様からのご指摘もありましたので、2000年、2001年はキャップシールを外し、コルク長さ、印字、一度開封した形跡があるかを確認いたしました。いずれも問題がないと判断しております。山本様とお話した際、確か2004年ではなく、2014年とおっしゃっていましたので、2004年はキャップシールは外しておりません。また、おりと液面のチェックもいたしました。 真贋チェックだけでなく、液漏れによる劣化などないか、ワインの品質についても細かくチェックしております」とコメントした。
岡崎奈美子・取締役は「当社はワインの偽造品が日本で蔓延しないためにも、偽造品チェックを専門家にお願いし、多くの時間を割いております。ワインが偽造品と判明した場合には、落札者にご迷惑のかかることがないよう、適切に対応させていただきます。ワインに限ることではありませんが、オークション会社として、真贋チェックにこれからも真摯に取り組んでまいります」と語っている。




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