世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. 入門編ピノタージュ、クライン・ザルゼのセラー・セレクション

入門編ピノタージュ、クライン・ザルゼのセラー・セレクション

  • FREE
 南アフリカのピノタージュ種は損をしている。ブルゴーニュ愛好家の多い日本ではとりわけ、ピノ・ノワールとサンソーの交配種という点が、軽視されている。ピノ・ノワールとガメイをブレンドしたブルゴーニュ・パス・トゥ・グランと似て、日蔭者のイメージがある。

 しかし、アンリ・ジャイエもパス・トゥ・グランを造っていたように、存在するのはそれなりの理由がある。ピノタージュも上手に造られたものは楽しめる。起源は1925年。ステレンボッシュ大学の教授が、ピノ・ノワールと、エルミタージュと呼ばれていたサンソーを交配して植えた。そこから選抜されて、1943年に初めて商業的に植え付けられた。糖度が上昇しやすく、果皮が厚く、丘陵地が適している。1990年代にピノタージュ連盟が結成されて、品質が向上した。

 家族経営のクライン・ザルゼは、ステレンボッシュの自社畑や買いブドウから6つのレンジを造る。中間レンジの「セラー・セレクション ピノ・タージュ 2014」を試飲した。プラム、グリーンペッパー、スモーク、中程度のタンニンはなめらかで、ジューシー。背骨はしっかりとあり、スパイシーなフィニッシュ。とりたてて傑出したところはないが、気軽に飲めるスタイル。ピノタージュはひどいものも多いから、1800円という価格なら、入門にいいだろう。

 ただ、ここは1つ上のレンジの「ヴィンヤード・セレクション シュナン・ブラン 2014」の方が買い。黄桃、マンダリンオレンジ、貝殻、果実の厚みがあり、酸は中程度、口当たりはまろやか。フルーティで、ほろ苦いフィニッシュ。樽発酵で、アルコール度は13.5%。まとまっている。

 ワインメーカーのアラン・リマーはスペインやカリフォルニアで働き、国際的なワイン造りの経験を生かして、シュナン・ブランに情熱を注いでいる。いずれも、価格とパフォーマンスのバランスがとれている。

2016年5月8日 自宅で

クライン・ザルゼ・ワインズ セラー・セレクション ピノタージュ 2014
86点
参考上代:1800円
クライン・ザルゼ・ワインズ ヴィンヤード・セレクション シュナン・ブラン 2014
88点
参考上代:2400円
輸入元:ラフィネ

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP