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気候変動に伴って、伝統産地ボルドーにもほかの産地の品種を導入する動きが活発化している。INAO( 国立原産地名称研究所)は先に赤ワインと白ワインの計6品種の使用を正式承認したが、ローヌ品種をブレンドしてヴァン・ド・フランスを生産する協同組合も登場している。
ユニオン・ド・ギエンヌ(Union de Guyenne)から名前を変えたボルドー・ファミリーズ(Bordeaux Families)は、マレット(MALLETTE)ブランドで、カベルネ・ソーヴィニヨンとグルナッシュをブレンドした赤ワインを発売した。小売価格は6.4ユーロ。メルロとシラーをブレンドしたワインも発売予定。
ボルドー・ファミリーズは、1934年に発足したカーヴ・アンテルコミュナル・ソーヴェテール・ブラジモン・エスピエットと、カーヴ・ルイ・ヴァロンが統合された協同組合。300人の組合員が加盟している。オーガニック栽培する280haを含む5000haからワインを生産する。ペットナット、ルイ・ヴァロン(Louis Vallon)ブランドのクレマン・ド・ボルドー、最良の区画から生産するエクセリムなど、時代を意識したモダンなワインを発売している。
カベルネ・グルナッシュ・ブレンドは、シャトーヌフ・デュ・パプのシャトー・ド・ラ・ガルディーヌと共同で仕事をした際に、ローヌ品種とブレンドするアイデアが生まれたという。ラベル表示はヴァン・ド・フランスとなる。
一方、INAOは先月26日、AOCボルドーとボルドー・シュペリウールに赤ワイン用4品種と白ワイン用2品種の計6品種を使用することを正式に承認した。生産者連合は2019年6月、気候変動に適応できる新たなブドウ品種7種の導入を決めたが、最終的にプティ・マンサンが除外された。
気候変動に伴う気温の上昇と乾燥に対処するため、国立農学研究所(INRA)と連携して、10年間にわたり52を超すブドウを試験的に栽培して絞り込んだ。補助品種で作付け面積は5%以下、ブレンド時の比率は10%以内に限定される。品種はラベルに表示できない。
認められたのは以下の6品種
▼赤ワイン用品種
・アリナルノア(Arinarnoa) INRAで生まれたタナとカベルネ・ソーヴィニヨンの交配品種。灰かびに強く、安定した生産量が望める。
・カステ(Castets) 忘れられていた歴史の古いボルドー固有品種。灰かび、ベト病、ウドンコ病に強い長期熟成型。
・マルスラン(Marselan) カベルネ・ソーヴィニヨンとグルナッシュの交配品種。晩熟で、灰かびやウドンコ病に耐性がある。ラングドックや中国で植えられている。
・トウリガ・ナショナル(Touriga Nacional) ポルトガルの代表的品種。晩熟で病害に強く、長期熟成が可能。骨組みが堅固。
▼白ワイン用品種
・アルヴァリーニョ(Alvarinho) スペインやポルトガルで植えられ、酸が高めで灰かびに強い。
・リリオリラ(Liliorila) バロックとシャルドネの交配品種。暑くてもアロマを失わない。
ボルドーのAOC規定では、赤ワイン用が6品種(カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロ、マルベック、カルメネール、プティ・ヴェルド)、白ワイン用が8品種(セミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリ、ミュスカデル、コロンバール、ユニ・ブラン、メルロ・ブラン、モーザック)認められている。
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