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ピノ・ブラン・シャンパーニュの傑作、ローズ・ド・ジャンヌのラ・ボロレ

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 シャンパーニュでブラン・ド・ブランを名乗れる品種はシャルドネだけではない。ピノ・ブランも可能だが、めったに見ない。コート・デ・バールで細々と栽培されているだけで、大半はブレンドに使われる。ピノ・ブラン100%で仕込む造り手は少数いるが、頂点に立つのはローズ・ド・ジャンヌのリューディ・ラ・ボロレに決まっている。価格はシャルドネのオート・ランブレより高い。

 黄色の果実、スモーキーで、火打石、ハチミツのタッチ、クリーミーなテクスチャーはいつも通りだが、オイリーなふくらみと酸の伸びはシャルドネにかなわない。そもそも酸が低く、細いボディの品種だから、どうしようもない。その分、開くのが速く、50年を超す樹齢の樹の複雑さが大きく広がった。外交的な性格ではないが、引き締まっていて無駄がない。何よりも、セドリック・ブシャールのシャンパーニュにあるワインらしさと、果実の甘み、バランスの良さがある。一筋縄ではいかない。シリアスな愛好家向けの禁欲的なスタイルだ。

 焼き鳥に合わせて、大橋健一MWが持ち込んだのは「ビボ・ランゲ ラインガウ リースリング・トロッケン 2014」。ドイツから送られてきた未輸入のワイン。ピュアな果実と透明な酸があり、レモン、オレンジの香り。クリスタルなミネラル感。タイトで快活、エレクトリックな味わいは、脂を落とした鶏皮によくあった。さすがに熟達した火通し。

 外はカリッとしているのに、中から血の香りと肉汁があふれだす名物のレバー。これには「ティボー・リジェ・ベレール ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・サン・ジョルジュ 2005」を。ティボーがグランクリュ昇格運動を続ける自慢のプルミエクリュ。ドメーヌを訪ねると、これはリシュブールの前に出てくる。

 アルコール度は14%台後半、凝縮した果実と、ブラックチェリーのキルシュ、チョコレートの香るリッチなワイン。レ・サン・ジョルジュは垂直試飲した際に、2005が最も堅牢で、抽出が強かった。全房発酵の比率は30%だが、今は2006や2008の方がはるかに飲みごろ。米国人の好んだ太陽の年2005らしい性格がよく表れている。このころのティボーは今より、力強いスタイルに寄っていた。10年は放置しておいた方がよい大作だ。

2016年5月14日 東京・銀座の「バードランド」で

シャンパーニュ ローズ・ド・ジャンヌ ブラン・ド・ブラン リューディ・ラ・ボロレ ミレジム2009
デゴルジュマンは2013年4月
93点
購入:フランスのショップで54ユーロ
ビボ・ランゲ ラインガウ リースリング・トロッケン 2014
92点
ティボー・リジェ・ベレール ニュイ・サン・ジョルジュ・レ・サン・ジョルジュ 2005
92点

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