世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. テロワールは正直、ジャック・フレデリック・ミュニエのニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャル

テロワールは正直、ジャック・フレデリック・ミュニエのニュイ・サン・ジョルジュ・クロ・ド・ラ・マレシャル

  • FREE
 ニュイ・サン・ジョルジュからRN74を南下すると、プレモー・プリセが終わるころ、右側に看板が見える。「クロ・ド・ラ・マレシャル ジャック・フレデリック・ミュニエ」。9.76ヘクタールのモノポールは広い。ミュニエのミュジニーの9倍ある。
 ブルゴーニュの特質が詰まった畑だ。フェルマージュ(賃借)、造り手によるスタイルの違い、テロワール。ミュニエ家は1902年からこの畑を所有するが、1950年から2003年まではフェヴレイに貸し出していた。2004年から、ミュニエが手掛けるようになって、スタイルがガラリと変わった。

 頑強なフェヴレイ流から、エレガントなミュニエ流へ。ニュイ・サン・ジョルジュで造られるシャンボル・ミュジニーとまで呼ぶ声もあった。しかし、ミュニエがホームグラウンドのシャンボル・ミュジニー村から造るワインより、はるかにニュイのアーシーさや、腰の強さを感じさせる。明確なテロワールの違いがある。
 「ジャック・フレデリック・ミュニエ ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエクリュ・クロ・ド・ラ・マレシャル 2005」は、ミュニエが造り始めて2年目の、今となっては希少なヴィンテージだ。ラズベリー、甘草、甘いスパイス、恵まれた日照を反映して、コアの果実に力がある。筋肉質のボディで、肩幅が広い。横に広がるヴォリューム感があり、湿った土の香りがおおらかなフィニッシュにまとわりつく。きれいなハーモニーがあるが、シャンボル・ミュジニーよりはるかに線が太い。

 フェヴレイより洗練された表現になったとはいえ、ミュニエがシャンボル・ミュジニーで造るほかのワインとは明確な違いがある。ドメーヌを訪ねて、樽からの試飲が終わると、ミュニエはいつも、クロ・ド・ラ・マレシャルの古いヴィンテージを出してくる。その時に感じたのと同じ力強さとたくましさを今回も感じた。コート・ド・ニュイの南端で、コート・ド・ボーヌに近い重さがある。

 ミュニエの畑はあわせて約4.5ヘクタールだったが、クロ・ド・ラ・マレシャルを取り戻して一気に3倍に増えた。さすがのミュニエも、当初は売るのに苦労して、新顧客を探したそうだ。古くから地主だったブルゴーニュの造り手はいま、メタヤージュやフェルマージュで貸していた畑を取り戻そうとしている。そうしなければ、畑を増やすのは難しい。その合間を縫って、ミクロネゴスが活躍している。ブルゴーニュの現代事情を示す点でも、興味深い畑である。

2016年8月4日 東京・キハチ青山本店で

ジャック・フレデリック・ミュニエ ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエクリュ・クロ・ド・ラ・マレシャル 2005
91点
輸入元:ラック・コーポレーション

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP