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2020年のボジョレー・ヌーヴォーは、新型コロナウイルスで航空会社が大幅に減便している状況に対応するため、昨年より2週間以上、現地からの輸出を前倒しする。世界一のヌーヴォー大国である日本向けに円滑な輸出をするための特別な措置を決めた。
ボジョレー・ヌーヴォーの解禁は、11月第3週の木曜日と定められている。今年は11月19日の予定。昨年は解禁日の20日前の10月31日に、生産者から海外への輸出が可能となっていた。今年は航空会社が大幅に減便しているため、出荷のルールを緩和して、柔軟な航空貨物輸送を可能にする。
ボジョレーワイン委員会(ドミニク・ピロン代表)は、ワインが生産者から出荷される日付を例年より1週間早い10月5日に定め、フランスから外国へ輸出が可能となるのは解禁日の38日前の10月12日となることを発表した。輸出は昨年より18日、前倒しされた。
輸入業者は航空便のボジョレー・ヌーヴォーを、解禁日に消費者の元に届けるため、早めに日本に引き取る。通関して検品し、国内の輸送網を通じて、レストランや小売店に届ける。例えば、ネットでショップから購入する愛好家が19日のランチやディナーで、ヌーヴォーを楽しむには、遅くとも前日に宅配で出荷しなければならない。
日本のボジョレー・ヌーヴォーの輸入量は世界のほぼ半分にあたり、2018年の輸入量は44万ケースだった。輸入業者は例年、航空貨物便の取り合いとなる。今年は早めの出荷を可能にして、航空便の手配に余裕をもたせる。輸入業者からも不安の声が出ていた。
パンデミックで、世界のホスピタリティ産業は打撃をこうむっており、生産者も苦しんでいる。ボジョレー・ヌーヴォーは、現地の生産者にも、国内の輸入業者にも大きな収益源となっているため、今回の特別措置となった。
今年のフランスは全体に冬が温暖で、生育は早く進んでいる。ボジョレー地方も収穫が早く、8月末から収穫がスタートする予定。
フランスのワインの新酒は、1950年まで12月15日以前の販売が禁止されていた。1951年11月13日に初めて、ボジョレー・ヌーヴォーが市場に出た。その後は解禁日は不定期だったが、1967年からは11月15日に固定され、1985年から現在の11月の第三木曜日となった。
最初はパリなど大都市に樽で運び、楽しむ地酒の新酒だったが、輸送手段が発展し、世界に輸出される新酒のシンボル的なワインとなった。グローバル化の下で、パンデミックがワインの流通に大きなインパクトを与えた格好で、サプライチェーンの重要さが改めて浮き彫りになった。
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