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ボルドー・ポムロールのシャトー・レグリーズ・クリネ当主ドゥニ・デュラントゥが15日、亡くなった。62歳だった。病気を患っていたという。
ドゥニは1957年生まれ。グランゼコール「パリ政治学院」で、政治と経済を修め、ボルドー大で醸造を学んだ。芸術家のマリー・レイラックと結婚して、1982年に26歳でシャトー・レグリーズ・クリネに参画した。
レグリーズ・クリネは19世紀初頭から家族が所有していた畑。シャトー・クリネとレグリーズの区画を統合して、レグリーズ・クリネを設立した。ドゥニの父が高級官僚だったため、クロ・ルネのオーナーのピエール・ラセールに支配人を任せていた。ドゥニは学生時代からブドウ栽培を手伝っていた。
ロバート・パーカーが1985年に95点を与えて知られるようになり、優良ヴィンテージの1998年以降は、ペトリュスやラフルールと並ぶ存在となっている。2010年にリサ・ペロッティ・ブラウンが100点を与えている。
レグリーズ・クリネの4.5haの畑は砂と粘土が交じった深い砂利土壌。メルロ85%、カベルネ・フラン15%を栽培している。1956年の霜を生き延びた樹齢80年以上の古木が植えられている。小型ステンレスタンクで発酵し、新樽比率50-70%で熟成する。シルキーでピュア。凝縮した果実にフィネスとエレガンスを秘めた深遠なワインだった。
ドゥニは1990年代にネゴシアン・ビジネスを始めて、ポムロール以外のテロワールを知るようになり、右岸衛星地区に畑を買った。ラランド・ド・ポムロールに購入したのはシャトー・レ・クリュゼル(Chateau Les Cruzelles)とラ・シェナド(La Chenade)。2009年にはカスティヨン・コート・ド・ボルドーにシャトー・モンランドリエ(Chateau Montlandrie)を購入した。いずれもアフォーダブルな価格で、高品質。右岸衛星地区の可能性を開拓している。
シャトーと呼ぶには素朴なたたずまいのレグリーズ・クリネは、ポムロールの教会の裏手にある。ドゥニはいつもカジュアルな格好で待っていてくれた。ワインのサービスは娘のアリックス、ノエミーやコンスタンスが行ってくれた。寡黙で、知性を感じさせる性格。質問しないと、自分から口を開いてワインを語るタイプではなかった。妻の作品が飾ってあり、仲の良い家族の雰囲気をうかがわせた。
ポムロールはドゥニの死去を悼んでいる。温かくて、知的なヴィニュロンともう話ができなくなるのは寂しい。
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