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コスパ最高、パイティンのドルチェット

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 ピエモンテの普段飲みは、ドルチェットかバルベーラに限る。バルバレスコもバローロも、すぐには飲めないから。

 ローヌ南部のコート・デュ・ローヌに続いて、気軽に開けたのはイタリア北部のピエモンテ。パイティンのドルチェット・ダルバ・ソリ・パイティンであった。これが素晴らしいコスト・パフォーマンス。少なくとも、今年開けた中ではベストコスパに近い。「drop dead Gorgeous」という表現を、どこかで読んだのを思い出した。本当に目を奪うほどゴージャスなのだ。

 ドルチェットでゴージャス?と思う向きは、だまされたと思って飲んで欲しい。甘酸っぱい。スモーク、ブルーベリージャム、甘草、アーモンドの香り。中程度の重さがあり、引き締まったボディと享楽的な果実味がせめぎあっている。そのバランスがいい。ドルチェットはバルベーラより酸が低い。タンニンが熟さないと、ぼやけた味わいになるが、これはそのあたりが絶妙。熟したタンニンが、優雅なボディに乗っかっている。

 畑が恵まれているのだろう。18世紀以来の歴史を持つパイティンは、バルバレスコ・ソリ・パイティンで知られる。南西向きの畑でネッビオーロとドルチェットを栽培している。看板の畑だからドルチェトも悪いわけがない。パスクエロ・エリア家のジョヴァンニとシルヴァーノ兄弟が、きっちりと仕事をしている。ピエモンテの王とも言えるブルーノ・ジャコーザで働いてきたコンサルタントのダンテ・スカグリオーネの助けもあるに違いない。

 飲むにつれ、目が開いて甘さ、苦味、果実味が開き、1本の糸に収斂されていくドラマは、独り占めしておくにはもったいない。南と北。全く別の産地だが、よくできたボージョレの発展の仕方と同じニュアンスを感じた。いずれも果実が先に開き、タンニンが後から甘さとともに追いかけてくる。

 こんな飲みがいのある赤ワインを飲んでいたら、何もいらないではないか。半分ほど残した。翌日も、翌々日も開けるのが楽しみだ。

(2014年3月 自宅で)
パイティン ドルチェット・ダルバ ソリ・パイティン 2009
週に一度は飲みたい度:90点
購入:楽天市場 1600円
輸入元:オーデックス

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